Ⅲ変わりやしない日常(3)
「裸で行けばよかったじゃない」
就活でスーツを着るのが嫌だと言ったら、作者のマブダチは真顔でそういった。
「ジェンダーバイアスとかそういうのグダグダいうより、身体で語れっていうの、よくない?」
「あんたねぇ。本気で悩んでんのに。だったらあんたがやりなさいよ」
「やーだ。私は、就職したくないから結婚したの」
マブダチは、器用に生きるのがうまい。作者と同じそれなりの大学を卒業したけれども、
大学卒という肩書はポイッと捨てて、婚活にまい進した。
恋愛結婚ができるように努力をしたのだ。合コンも試してたし、マッチングアプリはそのころはなかったけれども、SNSで意気投合すれば、リアルで会いに行った。
25歳の時に15年上の40歳の男と結婚して、子供はできなかった。
旦那には、甘やかされていて、本人曰く、旦那の精神安定剤になっているとのこと。
「……あー。もうこうやって枯れていくのかなって思うんだよね、最近」
「何で枯れるって思うの?」
「理想の仕事にも就けず、子供も持てず、枯れる」
「ふぅん。枯れるねぇ。子供ほしいの?」
「なんかねぇ、憧れたりはする。現実見たら無理だけど」
「……うちは無理だったからな……。子供がいないならいないなりに悪くないなって」
「……ごめん」
「ううん。気にしてない」
マブダチは本当に気にしていないから、作者は何度も同じようなことを言った。
マブダチは、作者が子供がいないことに後ろめたさを感じていることをよくわかっていた。




