Ⅱ旅が始まる(12)
小説を書きたいというのは昔からあって、でもちゃんと書き終えたということは殆どない。
自分の力を過信している……というか、書きたいことが大きすぎるのだろう。
そういう人間なのに、なぜこんななろう系、ファンタジー系という途方もなくデカいテーマを選んでしまったのか……。それを反省するべきなのかもしれない。
剣と魔法の世界は夢があり、可能性が無限にある世界だ。
だが同時に無限にありすぎて、どうしようもならなくなる世界でもある。
「アラフォーなんて夢も将来も狭まってくる年代なのに、こんな夢幻を信じていてもねぇ」
作者は書きながらむなしい気持ちを抱き始める。
就職氷河期ほどではないにしても、リーマンショックだとかそういうので就職難の時代だった。氷河期時代と戦うことはなかったけれども、非正規雇用だのがいるわけで、正社員は上司とよくできる非正規雇用との間の壁に挟まれながら生きてきた。
まぁそれでも、各種保険や社会保障がついている正規雇用というのは本当にありがたかった。
会社を退職してからヒシヒシと思う。
「国民健康保険の保険料、マジで高いもんな……」
1000円台の時給の中で、光っていた賃金の良い仕事はコールセンターで、その仕事を最初に指示された時点で、辞めようと思った。
「詐欺じゃねぇか……」
健康食品のセールスの電話をするというもので、固定電話に電話をかけて販売を促すというものだった。健康食品は悪いものではないことは分かってる。だけど、相手に自分の商品をアピールして買わせるってどうなんだろう。そもそも、自分はこの商品を試したことがないのに。
「高くはないけどさ……。いや、私には高い……。だから買わないけど」
無茶苦茶売り上げを上げているという年配の女性は偉そうだった。
「先月は私が一番だったのよ。だから、教えてあげるわ、色々と」
マウントを取ってくるような感じの職場だなと思った。その女性を見て仕事が嫌になった。




