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Ⅰ大人になる(5)

カタルパには、生みの親がいない。「子羊座」で旅をしながら育った。

歌姫アリアが居るから、「子羊座」が旅先の村で歓迎されるのかと思っていたが、そうではないらしい。

故郷が始まりの村で、始まりの村からやってきた旅芸人の一座だから大切にされているとのことなのだ。


「もちろん、アリアは特別だけれどね。我々は人気のためにやってるわけじゃない。カミサマの教えを広めるために芸をするのさ」


だから、大人になる時に、カミサマに会いに行かなければならない。


「それは、心の問題なんだよ。魔法がうまく使えるとかそういうのよりも大切なこと。それはカミサマを信じてその祝福をみんなに広めていけること、それが大人になった始まりの村の者、導師の役割なんだ」


「他の人が知らないことを教える。それが導師の役割」


「アリアはそのことも分かったうえで歌を歌っている。どれだけ美しい声なのか、歌なのか、そういうのよりも大事なことがあるのさね」


長老とアリアは、カタルパに語り掛けた。


「でも、それと私のパートナーが彼女付っていうのは違うと思うんだけど」


「ああ、これは、LGBTQの影響だな」


「LGBTQ?何それ?」


「これは、メディアで取り上げられているようなものでな。心が男性、身体が女性であったり、その反対であったり、同性のことを恋愛対象として見なす人のことであったり、様々な性的志向を持っている人が世の中にはいて、その少数派のことも考えてほしいというトレンドのことなじゃが……。ヒズミにもその影響が出ておって、最近は、男性のパートナーとして異世界から男性が現れたり、まぁ色々あるんじゃわ」


「昔はヒズミとして現れた異世界の人間と結ばれるというのが慣例だったんだけどねぇ。ヒズミが選ぶ人間と合わないということはよくあるし、そもそも性的志向が違うのに結婚するとか、ありえないでしょ。だから、もう試練に向かうだけの関係っていう割り切った感じになったの。時代の流れよね」


なぜ始まりの村にヒズミがあるのかは分からない。共に試練を越えるパートナーはヒズミが選ぶ。ヒズミが選んだのだから、それは運命の相手だ。となるわけなのだが、最近の風潮では、この運命というのは必ずしも正しいとは限らないという感じになっている。




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