Ⅱ旅が始まる(6)
レアルトがうまくこの世界に入っていけそうな足がかりをつかんだ一方で、カメリアは苦戦していた。
「こんなスケスケの服なんていやよ。胸だけって、どういうセンスしてんのよ」
渡された踊り子の服に対して、カメリアは叫びながら抵抗を示した。
アクアはパフォーマーだし、人を集めるのであれば布面積の少ない服の方が都合がいい。
暖を取れるような火の魔法を使えば、寒くても平気だし、彼女は楽しんで見られようとするエンターテイナーだ。
カタルパは、アクアと同じような服を着て踊ったり歌ったりすることを楽しいと思っていたけれども、カメリアが嫌がるのを見て、下半身はロングスカートだけれども、上半身はブラだけみたいな恰好をしていることが恥ずかしいということに気が付いた。
確かに、布面積が少ないというのは、恥ずかしいかもしれない。
「この服変かな? ちょっと出しすぎとかじゃない?」
「別に。そういうもんだろ。隠すべきところは隠してるし、人型魔物は服を着ていないし、人間らしい服だと思うけど」
カタルパとラーナスの話を聞いて、カメリアが反発した。
「魔物と比べるってちょっとおかしいでしょ」
「じゃあ、どうして服を着てなきゃいけないんだ?」
「そりゃあ、だって、他の人に胸とか尻とか見せるのは、はしたないというか」
「そぉかぁ? まぁ、魔物は裸でも、性行為に及んだりしねぇよ」
「ななななななによ。そういう話をしてるんじゃないわよ」
カメリアが顔を赤らめると、カタルパは不思議そうな顔をした。
「何で赤くなるの?」
「何で赤くならないのよ? 性行為とかそういうのは……」
「人間が生存していくためには必要な行為だろ。魔物は、身体が出産のリスクに備えて、子供が育てられる時期にしか発情しない。自然と対応した形での出産をする。人間みたいに、何年も育児や世話が必要な時期があるわけじゃない。いつ性行為をするべきなのかもわかんなくなってる劣等種になっちまってるからな」
「劣等種って……」
「違うのか? 社会を作ろうとするがあまりに、自分という生命体のことを忘れてしまう種だ。まぁ、そのせいで、人間は年中発情期で、どこでも発情する男性に襲われないようにっていう意味で、服を着るっていうのは、道理だとはおもうけど」
「アンタが、襲わないっていう保証はないでしょう。だから服を着てそういう気持ちにならないようにしたげるのよ」
「どうだか、逆にお前が襲わないっていう保証もないでしょ」
売り言葉に買い言葉で、カメリアもラーナスも攻撃を止めない。




