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Ⅱ旅が始まる(2)
ラーナスはやれやれといった顔をしたが、嫌ではなさそうだった。ラーナスにとってカタルパは妹のような存在だし、なにせ可愛いから、甘えられて嫌な気はしない。
「それで、試練でどんな力を得たんだ?」
ラーナスにそう尋ねられたことが嬉しくて、カタルパは眼を輝かせた。
「あのね、光の魔法、光の剣っていうか、棒かな……。を作りだせたんだ」
「光の剣……。具現化魔法というやつか……」
「具現化魔法?」
「創造型っていうやつだな。0からものを創造する力。そういう力をね……。面白いな」
「想像したものを魔法で創れるなら、ショーで使えるなって。ダンスのリボン、タクト、フラフープとか……」
「それじゃあ、試練は踊って越えたのか?」
「……ううん。違う。戦った。レアルトが、倒してくれた」
改めてそのことを思い返すと、無力感を覚えた。カタルパが試練の中でできたことは、レアルトの補佐をしただけ。光の剣を創って渡しただけだ。渡されたレアルトは、頭は良さそうだけれども細身で戦いに特化したような人間じゃない。
ただ男だから、戦うという役割を担ってくれた。それだけだ。