Ⅰ大人になる(31)
そして笑った。
「そっか。よかった」
それを見てレアルトは可愛いと思った。
「よく、お前、そんな嘘をつき続けられたよな」
レアルトに言われて、カタルパは意外だと思った。
レアルトは梓がどんな時も平気な顔をして嘘をつき続けたことを全く咎めなかった。
嘘はいけないことのはずなのに。
それを彼は良いと言ってくれた。
「……そう思うんだ」
「すごい才能だよな。我慢しながらずっといい子であり続けた。俺は尊敬する」
意外と思いながらも、レアルトならそう言ってくれると思っていた。
真実よりも痛みを共有したい。2人ならそう思ってくれる。
「貴君と椿ちゃんに嫌われるのが怖かったから」
いつの間にか目から涙が伝っていた。
どんなことを思っているのか、どんなことを感じているのか。
大切な2人なら分かってくれると思っていた。
でもね、……こんなことを確認する時間もないくらい、あの世界は忙しかった。
「俺よりも、椿の方が梓のことを想ってる」
「どうして、そう思うの?」
「お前が、梓が死んだとき、俺は薄情だから、そういうものだと思って受け入れた。椿は違ってた」
梓が死ぬことを追体験すること、それが試練なら、それを一番辛いと思うのは椿だったカメリアだ。
早く彼女を見つけないとと2人は前に進むことにした。




