Ⅰ大人になる(3)
場をなだめる様にアリアが口を開いた。
「所詮、しきたりだけの関係よ。この村のカミサマの居るところに行って、契約をしてくる。それだけのこと。魔法を使えるようになるためには絶対に必要なことだし、旅芸人として一人前になるためには絶対にしないといけないこと」
「それは分かるけど、でも、何で3人でいかないといけないのよ」
「だって、来られた方がお2人だったのだもの。仕方ないじゃない?」
アリアにそういわれても、カタルパは納得できない。試練を越えるパートナーはランダムに選ばれるとはいえども、そんな人数が違うというのはおかしな話じゃないか。
パートナーとの間に恋心が芽生えるとかそういうのは、もう昔のことだ。それでも、何らかのロマンスを期待してしまうのが乙女心である。金髪の少年はあっさりとした顔をしているけれども、容姿は整っている。だがいかんせん隣にいる女が邪魔だ。
「アタシはカメリア。アンタの名前は?」
金髪の少女は不遜な態度でカタルパに話しかけてきた。
「アンタってのは何よ。想定外の人間のくせに」
「想定外なのはアンタの存在じゃない? アタシはレアルトと結ばれるためにこっちの世界にやってきたの。アンタの存在が邪魔なのよ」
(こっちの世界にやってきた? こいつらはこの世界の人間じゃないの?)
大人になるための試練を受けるためだけにやってきたカタルパは、情報量の多さに目が回った。