Ⅰ大人になる(22)
街には、芸術祭というのがあって、そこでは作った動画の上映会も開かれることになっていた。
街の人には、目立ちたがり屋が多くて、ステージ企画を募集すると結構な数が集まる。
それが良い賑わいになるのだけれども、だからといって、全部をやるような余裕はない。
どのように演者を決めるのかというのは、大変だった。
嫌な気持ちになるような人が一人でも少なくなるように。
かりに嫌な気持ちになる人がいたとしたら、その人が少しでも嫌な気持ちが和らぐように。
芸術祭の実行委員の中に三屋さんも入っていて、動画の上映会とステージ企画を、できるだけたくさんやるにはどうすればいいのか、といったことの調整をしていた。
市民センターには、大きな広場と建物があって、建物にはホールがあった。
場所を2か所にして、分散させる。
広場に舞台を作りそこは、ステージプログラムばかりやる。
ホールではステージもやるし、動画上映もする。
という形で計画が組み上がっていった。
「じゃあ、今年はホールでのステージは、後ろに映像出せるようにするってことよね」
「ああ、ステージから動画上映への移行の時ならできるかも……」
椿はキラキラと目を輝かせながら、20代後半の三屋に対して、可愛いそぶりを見せた。面白い企画を思いついたから、そういうそぶりを見せたのだと思うけれども、貴は何かムカムカとした。




