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Ⅰ大人になる(12)

 酔っ払いは更に迫ってきた。


「カタルパ―。お前は、この村の可愛い妹だろ、なぁ」


ルードおじさんはもう大分飲んでて、いつもよりも高い声でカタルパに絡んできた。妹いうポジションを与えられるのはやぶさかではないけれども、現代日本からやってきた転送人が使っていた妹という意味にでの妹ということだとしたら、大分都合のいい女だと思われていると考えた方がいいのかもしれない。


 自分より弱くて、可愛くて、甘えてくる可愛い妹……。糞のような男の上から目線だ。でも、歌姫カタルパを可愛がってくれるのは、そういうなめた目でもあるので、完全に否定はできないとカタルパは思う。


「俺はな、カタルパと酒を飲めるようになるのが楽しみで仕方なかったんだよ。カミサマは酒が好きでな。酒を飲んで、良い旅になるような呪いをしたいとおもってたんだよ。何なんだよ、あの、転送人は」


ルードおじさんは、カタルパの方に近づきながら甘えた目線を向ける。


(うーわ、めんどくさ)


男の弱さを否定はできないけれども、はっきり言って、相手をしたくない。そもそもそういうのは見たくない。ルードおじさんが目に涙を溜めながら、カタルパに懇願するのを見て、むしろカタルパが泣きたい気持ちになった。


「ルーちゃん、私と飲みましょ」


困っているところに救いの手を差し伸べてくれたのはアリアだった。


「私はいくらでもお付き合いするわよ。だって、今日は可愛いカタルパのお祝いの日なんですもの」


「だから、俺はカタルパと飲みたいんだよ……」


「わがまま言わないの」


 アリアは手慣れているし、大人の女性であしらい方もうまい。そもそも美人というのは、大正義なところがある。アリアはルードに立ち上がるように促し、一歩一歩外へと連れて行った。アリアはルードの隣にいた若い男と、カタルパにも付いてくるように合図をし、そしてカタルパは言われた通りについて言ったのだけれども、タイミングを見計らって介護メンバーから外れた。


 それは都合のいいことだった。レアルトの目線が怖かったし、カメリアはレアルトの横に引っ付いていて、カタルパにきつい目線を向けてくる。嫉妬というか警戒しているというか。嫌な感情が向けられている感じだ。だから、居心地が悪くて宴席から離れたかった。




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