Ⅰ大人になる(11)
村の大人たち、特に男たちは、カタルパのパートナーとして、レアルトという男性がやってきたことを喜んだ。そして、大きな酒樽を持ってやってきた。お酒が飲めるようになるのは、この宴の主役になる日からだ。すなわち、16歳になる今日から飲めるようになる。だが、今回は様子が違っていた。
「いや、お酒もタバコも、20歳になってからなんで。そもそも、タバコは身体に悪いんで、吸う気ないですけど」
「え」
レアルトが自分の考えを述べたときに場が凍り付いた。レアルトは周りの村の人たちに勧められても、頑なに拒んだ。その断り方は偉そうで、周りはドン引きだった。主役たちが酒を飲むからこそ、宴が盛り上がるのであって、周りの大人たちはレアルトの態度に対して文句を言った。
「なんだ、今回の転送人は付き合いが悪いな」
「お前は飲むだろ、カタルパ?」
酌をして回るのは、面倒見が良いルードおじさんで、酒樽を持ってきたのも彼だ。レアルトのノリが悪いというか、頑なに拒むし、隣で飲むこともできないような雰囲気を醸し出すので、カタルパの方にやってきた。カタルパは、お酒に対してはあまり興味がなかったというか、アリアの酒癖が悪いので、飲むことに対して消極的だった。
「ルードさん、私は、ちょっと……」
そう言ってもルードは大きな酒樽を担いで盃を取るように促す。この空気感の中で拒むのは、かなりの力を要する。
「え、っとはい、まぁ……」
いやいやながら盃を手に取ろうとすると、カタルパにはレアルトから、強い視線が向けられた。
(未成年が飲むなよ飲むなよ飲むなよ……。飲んだら、お前を許さない。飲むのか、マジでか。飲むというのはどういうことか分かっているのか)
そんな露骨な嫌悪感を向けてくる。カメリアは隣で、レアルトの腕にもたれて甘えているし、見てるだけで腹が立ってきた。
(お前らが付き合い悪いから、おっさんがこっちに来るんだよ)
そう思って睨みかえすと、その怒りの意味を取り違えたのか、更に強い視線をカタルパに向けてきた。
(飲むつもりなら、俺はお前を許さない……)
(だから、違うってば、これはどうしようもなくって……)
これで飲んだら、明日からの試練の洞窟で一緒にやって行くというのはかなり大変になりそうというのは分かったので、必死で抵抗した。仲のいいルードおじさんの圧だから、それを断るのは無茶苦茶大変だ。ルードには色々可愛がってもらった恩もある。うざいけど、ちゃんと応えないといけない。だけど、これから向かう試練に関しては関係のない人だ。大事な試練、そのことを考えると、ルード以上にレアルトの感情を優先させることにした。




