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Ⅰ大人になる(10)

 今晩は、ハザマの世界からやってきた転送人を歓迎し、その一行の旅を祈念する宴が開かれる。カタルパは今までに3回、試練の洞窟に向かう前の宴を見ている。宴は日が落ちてから始まる。子供だから宴に参加しても短い間しか、参加しなかったけれども、主役たちは酒宴の中央に座って、たくさんの人から歓待を受ける。


「配置はどうすればいいのかな」


「主役の椅子は2つしかないからね。……まぁ、酒宴は歓迎会だから、転送人さんたちに座ってもらってだなぁ……」


「でも、村としてはカタルパを主役にするべきじゃないの? 彼女が成人するお祝いでもあるんだから」


「私もカタルパを中心にするべきだと思うな。だってよくわからない2人のことなんて別にどうでもいいし」


転送人を尊ぶことは始まりの村の住人の義務である。その観点に立てば、問題のある発言ではあったが、そんな義務よりも、気持ちというのを優先させてしまうのも無理はない。


 最近、日本からやってくる転送人というのは評判が良くない。昔は「郷に入れば郷に従え」という姿勢の人間がほとんどだったが、天上天下唯我独尊、そんな人間が来ることもあった。レアルトとカメリアがどういう人間かはよくわからないが、特にカメリアの目つきがきつく、偉そうな感じがするので、村人からは敬遠されるような感じだった。


 カタルパはそんな周りの様子を見て、最初はシメシメと思った。


(でも、2人は好きでここに来たわけじゃないのかもしれない……だとしたら、可哀そうかも)


けれども、しばらく考えているうちに、むしろカメリアとレアルトのことを不憫に思うようになった。ハザマがどうして2人をこの世界に連れてきたのかは分からない。知らない世界にやってきて、あまり良い気持ちで迎えられなかったら、どんなにつらいだろうか。カタルパは2人に同情した。


 


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