表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/66

Ⅰ大人になる(1)



 正直、もうふざけるなって思うこともある。でも、私は歌ってる。それが、私がしたいことだし、私にできる唯一のことだから。


「カタルパ、これ持っていかないかい?」


 久しぶりに故郷に帰ってきたカタルパは、服屋のおばさんに言われて嬉しそうに振り返った。キラキラと光る赤いレースの端切れ。それでも、結構な長さがあった。


「いいの?」


「いいよ、端切れだからね」


「ありがとう」


「アンタの歌のお礼だよ。また旅に出るんだろ、その餞別」


カタルパは旅をしている。旅芸人一座、「子羊座」の歌姫見習いとして、歌姫アリアの前座として、時にはデュエット相手として舞台に立つ。まだ半人前の少女だ。


 アリアは国で一番人気ともいわれる歌姫で、わがままぶりもなかなかのもの。カタルパはアリアのお世話係という役目もあったから、苦労も多かった。


「ルパ、アリアが呼んでる」


猛獣使いのラーナスは、「子羊座」のメンバーの一人。カタルパよりも5つ年上で、カタルパのことをルパという愛称で呼ぶ。


 旅をする。それは誰でもできる簡単なことじゃない。この世界には魔物がたくさんいて、旅をしているときにいつ襲われるのか分からない。そんな世界だ。「子羊座」はそんな世界で暮らしている人々に祝福を与えるために、芸をして様々な村を回っている。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ