19話『オネット視点:切実な願い』
「死にたい。」
生きる事に絶望した俺はそんな事を呟く。
あの後リーシェには俺とシャロが恋仲であると勘違いされ、
その虚実が瞬く間に学園中に広まった。
故に――
「もう死ぬしかない。」
そんな事を自室のベッドで呟いた。その直後――
「それなら私が楽にして差し上げますよ?」
そう言って満面な笑みでナイフを構えるリナーシャさん。
「せめて。入るならノックしてくださいよ。」
俺は嘆くように吐き捨てる。
「私は今最高に気分が良いので。
特別に死に方を選ばせてあげますよ?
さぁ?毒殺か?刺殺か?絞殺か?
お好きな方を選んでください。」
「笑顔で物騒な事言わないでくださいよ。」
俺は命の危機を感じながらツッコミを入れる。
「冗談ですよ?」
そう言って笑うリナーシャさん。
(目が笑ってませんよ?)
俺は心の中でツッコミを入れる。
「それと。主様の誤解はきちんと解いて置きましたので。
ご安心を。」
「ありがとうございます。この恩は一生忘れません。」
「そうですか?なら私のお願いも聞いてくれますよね?」
そう言って不気味な笑みを浮かべるリナーシャさん。
その瞬間、俺は死を悟った。
俺は死を覚悟しながら頷いた。
「それは良かった。もしも断るような事があれば。
死よりも辛い地獄を味合わせてる所でしたよ?」
(だから怖いって。)
そんな事を心の中で俺は告げる。
「それでは私のお願いを言いますね?」
そう一拍を置きリナーシャさんは告げる。
「主様を1人にしないであげて欲しいんです。」
「えっ…」
思いも寄らない言葉に俺は思わず素っ頓狂な声を漏らす。
「主様は何もかも全てを1人で背負い込んでいます。
だから誰にも頼らず。ずっと1人で苦しんでいる。
故に誰もその苦しみに寄り添う事が出来ない。」
そう告げるリナーシャさんの表情は悲痛に歪んでいた。
「リナーシャさん。」
「こんな事貴方に頼むのはお門違いだと分かっています。
でも貴方にしか頼めないんです。
だからお願いします。どうか主様を救ってください。」
そう言ってリナーシャさんは土下座する勢いで俺に
頭を下げた。
「そんなの当たり前じゃないですか?」
そう告げるとリナーシャさんは驚いた様子で頭をあげる。
「オネット様?」
「俺はリーシェに幸せになって欲しい。
だからこそその願い。しかと受け取りました。」
次話はシャロ視点になります。




