18話『オネット視点:悲劇』
思いも寄らない言葉に俺は思わず素っ頓狂な声を漏らす。
「へ?」
「何だよ?自分から聞いてきた癖に。」
「いや。悪い。余りにも予想外過ぎて。というか。
それなら何で?俺から目を背けたんだよ?」
「あれは単純に感情の制御が効かなくなりそうだった
から。」
と気まずそうに彼は返答する。
「そうか。俺はてっきり。お前に嫌われているんだと
思ってた。」
「なっ…そんな訳ないだろ?
俺は本気で君の事が好きなのに。」
その言葉に俺は苦笑を零す。
「そん時は思いもしてなかったから。」
その言葉に彼は気まずそうに尋ねる。
「でも君は気持ち悪いとか思わないのか?
俺が男を好きでいる事に?」
「そんな事思う訳ないだろ?誰が誰を好きであろうと。
それを否定する権利なんてない。現に俺だって二千歳以上
離れた育て親に惚れてんだから。
俺も人の事言えないだろ?」
そう言って俺は苦笑を浮かべる。
「そんな君だからこそ。俺は君を好きになったんだ。」
「そうか。でもごめんな?やっぱり。俺はリーシェの事が
好きだから。お前の気持ちには答えられない。」
「分かってる。」
「けど。俺の事好きになってくれてありがとな?」
そう告げると彼はふっと微笑む。
「やっぱり。君を好きになって良かったよ。」
「ならお前の事シャロって呼んでも良いか?」
「良いよ。その代わり。俺も君の事オネットって
呼んでも良いかな?」
「ああ。これからよろしくな?シャロ。」
「こちらこそ。」
そう言って俺達は互いに握手を交わす。
そんなこんなで。俺達は友達になった。
「それじゃあ。また明日。」
「うん。また明日。」
そう言って俺達がその場を離れようとした。その瞬間――
「あっ…」
突如としてシャロが体勢を崩す。
「シャロ!!」
俺は慌ててシャロを受け止めるが。
咄嗟の事でちゃんと受け身を取れてなかった
俺はシャロと一緒にそのまま床に倒れ込む。
互いに向き合うような形で床に倒れ込んだ俺達は
その拍子に互いの唇が重なる。
つまり。俺は最悪な形でファーストキスを失ったのだ。
しかも――
「オ…オネット?」
最悪な事に。その光景をリーシェに見られてしまった。
そしてこの事件は俺至上最悪の悲劇となった。
次回『オネット死す』




