16話『オネット視点:苦行』
その後俺達はルシー先生 (リーシェ)から学園について
の説明を受けた。
今日は説明と物資の受け渡しだけで。特にこれと
言った事はなかった。
俺は配布された物資を異次元空間に詰め込む。
その間周囲からは変な目で見られた。
「明日から授業が始まりますから。
しっかりと時間割りを確認して。
忘れ物がないようにしてください。それでは解散。」
そんなルシー先生の言葉で生徒達は一斉に帰宅し始める。
ルシー先生は余った物資と資料を抱えて教室の出口へと
向かう。
俺はそんな彼女に声を掛ける。
「俺が持ちますよ?ルシー先生。」
そう声を掛けるとルシー先生は優しく微笑む。
「そう。ならお願いしようかしらね?」
そう言ってルシー先生は俺に荷物を渡す。
「任せてください。」
そうして俺達は荷物を持って教室を出る。
「悪いわね?全部持って貰っちゃって。」
申し訳無さそうにルシー先生は告げる。
「気にしないでください。俺が好きでしている事
ですから。」
「慣れないわね?貴方に敬語使われるの。」
むず痒そうにルシー先生は告げる。
「それは俺も同じですよ?」
そんな他愛のない会話を繰り広げながら俺達は職員室
へと向かう。
今の俺達の関係は1生徒と教師。
それ以上でもそれ以下でもない。
でも今はそれが歯痒くて仕方がなかった。
「荷物運んでくれて助かったわ。」
そう言ってルシー先生は俺から荷物を受け取る。
「いえ。それじゃあ。俺はこれで。」
そう言って俺がその場を立ち去ろうとした。その時――
「ルシー先生。その荷物教卓まで運びますよ?」
そんな声と共に爽やか系の男性教師がルシー先生に
声を掛ける。
「ありがとうございます。」
「気にしないでください。」
そんなやり取りが2人の間で繰り広げられる。
俺はその空気に耐え切れず、逃げるようにその場を
立ち去った。
そして気が付けば俺は人気ない場所へと来ていた。
「他人になるってこんなにも辛い事なんだな?」
胸が締め付けられるような痛みに苛まれながら俺が
そう呟いた。その瞬間――
「どうかしたのか?」
その声にはっと顔をあげると目の前に
剣聖シャロ・グラディウスが居た。
「何で?ここに?」
「君が思い詰めた顔してたから。気になって後を
付けてきたんだ。」
「でもそんな事お前には…」
「だからってそんな顔している君を放って置ける
訳ないだろ?」
「そこまで言うんだったら。俺の話に付き合って貰うぞ?」
「ああ。」
そうして俺は彼に心の内を打ち明けるのだった。
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