13話『オネット視点:剣聖』
合格通知が届いてから2週間が経ち、
王立魔法騎士学園の入学式当日となる。
俺は期待と不安を胸に学園の門扉を潜る。
その瞬間、周囲から熱烈な視線を浴びる。
「見て。蒼聖の勇者様よ?」
「朝からご尊顔を拝めるなんて。幸せ過ぎて死ぬ。」
女子達は恍惚とした表情で黄色い歓声をあげる。
その一方で。男子達は俺に畏怖の眼差しを向けていた。
「見ろよ。蒼聖の勇者様だぜ?」
「確か。魔法鑑定で会場を更地に変えた挙げ句。
剣術指導で試験官をボコボコにしたらしいぞ?」
「まじかよ。」
(まあ。確かに。会場は更地に変えたけどさ。
流石に試験官はボコボコにしてないぞ?)
俺は心の中でその容疑を否定する。
「しかも。筆記試験では初の満点らしいぜ?」
「まじかよ。あれで頭も良いとか反則だろ?」
そんな生徒達の声に俺は顔を伏せる。
ぶっちぎりの首席で合格した事もあり。
俺は良くも悪くも注目されていた。
「はぁ…憂鬱だ。」
俺がそんな事を呟いた。その直後――
より一層生徒達が騒然とする。
「おい。嘘だろ?」
そんな驚きの声と共に1人の生徒が現れる。
その生徒は茶髪に翠色の瞳をした
絶世の美青年だった。
余りにも見覚えの有り過ぎるその顔に
俺も思わず息を呑む。
「何で?剣聖がこんな所に?」
『剣聖』とは勇者に匹敵する程の力を持つ。
最強の剣士の事である。
そして彼の名はシャロ・グラディウス。
史上最年少で剣聖の座に就いた。
歴代最強の剣聖にして、王国最強の剣士だ。
そんな彼が今まさに目の前に居て。
しかもこの学園の制服を着用している。
つまり。彼も俺と同じようにこの学園に入学してきた
新入生であるという事だ。
(単なる偶然か?それとも…)
そんな事を思っていた。
その時、彼と視線が重なる。
だが彼はすぐに俺から視線を逸らした。
(まるで。見てはいけないものを見たと言わんばかりの
反応だな?)
彼のあからさまな態度に俺は思わず顔を顰める。
しかしこの出会いが後に悲劇を齎す事になるとは
この時の俺は知る由もなかった。
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