10話『オネット視点:勇者の苦難』
その後何事も無かったように筆頭試験が執り行われた。
しっかりと受験勉強をしてた事もあり、特に苦戦する
事もなく難なくやり終えた。
俺が試験を終えて帰宅するとリーシェが出迎えてくれた。
「おかえり。」
「ああ。ただいま。」
そう言って俺は微笑み返す。
「先にご飯とお風呂。どっちにする?」
そうリーシェに問われ、俺は間髪入れずに答える。
「汗かいたし。先にお風呂に入るよ。」
そう答えるとリーシェは優しく微笑む。
「そう言うと思って。お風呂沸かして置いたわ。」
「流石。デキる女。」
「馬鹿な事を言ってないで。
ささっと入っちゃいなさい。」
「分かったよ。」
そう言って俺は脱衣場へと向かう。
脱衣場で服を脱ぎ、脱いだ服を洗濯籠に入れる。
全ての服を脱ぎ終えた俺は風呂場の扉を開けて。
風呂場へと入る。
風呂場には大浴場並の大きな浴槽があった。
「いつ見ても。慣れないな。」
そう言いながら俺は桶にお湯を汲み、
体にお湯を掛けてから浴槽に入る。
湯船に浸かり、今日の疲れを癒やす。
「ふぅ…やっぱり。お風呂は気持ちいいな。」
そう俺が呟いた瞬間だった。
「それは良かったわ。」
そんなリーシェの声が脱衣場から響き渡る。
「なっ…リーシェ!?何で?」
「新しい着替えとタオルを持ってきただけよ。」
「そうか。それなら良かった。」
そう言って俺は安堵の息を漏らす。
「何が良かったの?」
その問いに俺は心の中で告げる。
(てっきり。リーシェの事だから。一緒に入るとか
言い出すと思ったけど。杞憂だったな。)
そんな事を心の中で思いながら告げる。
「単なる独り言だから。気にしないでくれ。」
「そう?」
と怪訝そうにリーシェは返す。
「それよりも。態々持ってきてくれてありがとな?」
「別に良いわよ。それくらい。」
そんな言葉を最後にリーシェは脱衣場を後にした。
リーシェが脱衣場を出た事を確認した俺は静かに
溜息を吐く。
「やっぱり。リーシェ。俺の事男として見てないよな?」
正直。今に始まった事じゃないが。
それでもショックな事に変わりはない。
「一体いつになったら。リーシェは俺を異性として
認識してくれるのか?」
そう言って俺は頭を悩ませるのだった。
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