7話『オネット視点:普通の人間』
その言葉にグロードさんは苦笑を零す。
「そのようだね?」
あっさりと負けを認めた彼に俺は思った事を告げる。
「次会えたらまた手合わせしましょう?
今度は互いに本気を出せる場所で。」
「そうだね。でもこれだけは言っておくよ。
今の君では到底勇者にはなれない。」
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「どうゆう意味ですか?」
「どうゆう意味も何も。そのままの意味だよ。」
そう言って彼は微笑を浮かべる。
そんな彼に俺は率直な疑問を口にする。
「それは俺が勇者の力を引き出せないからですか?」
その問いに彼は首を横に振る。
「そうゆう事を言ってるんじゃない。
まあ。僕の言葉が理解出来ないうちは
勇者としての資格を得る事は出来ない。
僕から言える事はそれだけだよ。」
まるで。全てを見透かしているような発言に
俺は居た堪れない気持ちになる。
「貴方は何者なんですか?」
そう尋ねると彼は平然と告げる。
「見ての通り。普通の人間だよ?」
「そうですか。」
それだけ言って俺はその場を立ち去った。
午前の試験を全て終えた俺は午後の試験が行われる
まで休憩に入る。
その間俺は指定された教室で早めの昼食を取る。
リーシェの手作り弁当を頬張りながら俺は先程の事を
思い返していた。
――王立騎士団の師団長グロード・シュトラウス。
彼は先程自身の事を普通の人間だと言っていたが。
俺はそう思えなかった。
(あの実力。どう考えても。人間の域を超えている。
そして何より。彼から僅かに人間とは異なる気配を
感じた。)
そう考えれば考える程に彼への不審感が積もっていく。
「彼は一体…」
そうポツリと俺にしか聞こえないような声量で呟くの
だった。
◇ ◇ ◇
【Sideグロード】
それから数時間後。
ようやく全ての生徒の試験を終えた僕は
人気のない校舎の裏庭にて一息付く。
「ふぅ…やっと終わった。」
数百名にも及ぶ生徒の相手した疲れがどっと押し寄せる。
「やっぱり。慣れない事はするもんじゃないな。」
などとそんな事を呟いた。
――その瞬間だった。
「それは申し訳ない事をしたわね。」
そんな聞き馴染んだ声と共に。漆黒のロングワンピース
を身に纏った。黒のミディアムヘアに、宝石のような
黄金の瞳を持つ絶世の美女が目の前に現れる。
そんな彼女の前に立つと僕は静かに跪く。
「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。
我が主リーシェ様。」
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