6話『オネット視点:負けられない男の戦い』
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「そうなんですか?」
そう告げると彼は苦笑を浮かべる。
「僕はあの人に命を救われたんだ。
だからどうしても忘れられなくてね。」
そう想いに耽るように彼は答える。
「その気持ち。俺にも分かる気がします。
俺もリーシェの事が好きですから。」
そう彼にしか聞こえない声量で答えると
彼は不敵に微笑む。
「それなら君は僕の恋敵って事になるね?」
そう言って彼は臨戦態勢に入る。
そんな彼に俺も不敵な笑みを浮かべる。
「俺は多分貴方よりも強いですよ?」
「だろうね。でも負けるつもりは毛頭ないよ。
僕にも譲れないものがあるからね?」
「どっちが勝っても恨みっこ無しですからね?」
そう言って俺も臨戦態勢に入る。
それを合図に戦いの火蓋が切られる。
俺は力強く地を蹴り、グロードさんに剣を振り下ろす。
だがグロードさんは物ともせずに平然と剣で受け止める。
「この程度の攻撃じゃ僕は倒せないよ。」
そう言ってグロードさんはカウンターを仕掛ける。
(カウンター!?しかも俺がガードしづらい位置を
ピンポイントで!?)
予想外の攻撃に俺は僅かに体勢を崩す。
その隙をグロードさんは見逃さなかった。
「ぐっ…」
グロードさんは一瞬の隙を突いて、俺の鳩尾に木の剣
を叩き込んだ。
(強い。)
純粋に俺はそう思った。
「君は確かに強いのかもしれない。でも
強さだけじゃ何も守れないんだよ。」
「そうだとしても。俺は諦める訳には行かないんですよ?
俺にだって譲れないものがあるから。」
そう言って俺は即座に体勢を立て直し、
グロードさんに攻撃を仕掛ける。
だがそれもグロードさんは容易く受け止める。
「格上相手に生半可な攻撃は通用しない。
だからもっと相手の意表を突くような攻撃でなければ。
有効打は与えられない。」
そう言ってグロードさんはカウンターを仕掛ける。
だが――
「生憎と。狙い通りですよ?」
グロードさんがカウンターを仕掛けたのは俺ではなく、
俺の残像だった。
「なっ…残像!?」
呆気に取られるグロードさんの隙を突き、彼の持つ剣
を吹っ飛ばす。
剣を失った彼の首筋に剣の先を突き立てながら
俺は高らかに宣言する。
「俺の勝ちですよ?グロードさん。」
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