5話『オネット視点:剣術指導』
魔法鑑定でその場一帯を更地に変えた後
俺は修復魔法で会場を即座に修復した。
その一部始終を見ていた全員が俺に畏怖の眼差しを送る。
期待、羨望、嫉妬、恐怖。
今まで様々な視線を目にしてきたが。
俺は正直気にも止めていなかった。
(周りがどう思おうと。俺には関係ない。
リーシェが俺の傍にさえ居てくれれば。
他には何も要らない。)
そんな事を思いながら俺は会場を後にする。
試験を終えた以上この場に留まる理由もない。
それに壊した会場も元通りに直したし、試験の妨げに
なる事もないだろう。
そんなこんなで。俺は次の試験会場へと向かう。
実技試験最後の試験は『剣術指導』
試験内容は試験官との模擬戦。
それ故に試験会場は学園の闘技場だった。
俺は憂鬱に思いながら闘技場に赴く。
闘技場には2つの試験を終えた数十人の生徒が
列を成していた。
そして列の最前線には試験官と思われる男性と模擬戦
を行う男子生徒の姿があった。
試験官の男性は橙色の頭髪と瞳をした
二十代半ばの若い外見。
そんな男性には何処か見覚えがあった。
(あの人は確か。王国騎士団の師団長
グロード・シュトラウス。)
王国騎士団の師団長グロード・シュトラウスは
史上最年少で師団長の地位に付き、次期騎士団長の
地位を確実なものとしている。王国屈指の騎士。
そんな大物が試験官を務めているという事に俺は
少しばかり驚いていた。
試験とはいえ。彼と剣を交える事が出来るのだから。
騎士団を志している者からしたら願ってもない事だろう。
というのも。この学園の入学を希望する殆どの生徒が
王立騎士団を志している。
それ故にこの場に居る生徒の殆どがやる気に満ちた
表情を浮かべている。
とはいえ。俺は騎士団に入るつもりは毛頭ない為。
微塵も興味が湧かない。
憂鬱に思いながら俺は自分の番が来るのを待つ。
それから数十分後。
ようやく俺の番がやってくる。
俺は試験の為に用意されていた木の剣を手に持つと
彼の前に立つ。
すると彼は真剣な眼差しで俺を見据える。
「君があの人の育てた勇者って事で良いのかな?」
その問いに俺は彼にしか聞こえない声量で答える。
「リーシェの事をご存じなんですか?」
そう問うと彼は恍惚とした表情で告げる。
「あの人は僕の想い人だからね。」
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