4話『畏怖』
私は早朝祖国であるアルセリア王国の王都を訪れていた。
この国で最も栄えている都市だけの事はあって。
早朝にも関わらず賑わっていた。
「相変わらず。賑やかな場所ね。」
そう憂鬱に呟きながら私は目的の場所へと向かう。
それからものの数分で私は王都にある王城へと
辿り着いた。
「貴様。ここを何処だと心得る?」
門の前に辿り着くや否や2人組の兵士が私の行く手を阻む。
「私は国王と謁見する為にここへ来たの。だから
通して貰えるかしら?」
「貴様のような素顔を隠している怪しい女をこの城に
入れられるものか?」
「だったらこれでどう?」
そう言って私は真紅の宝石が付いた指輪を兵士達に
見せる。
それを見た兵士達は息を飲む。
「それはまさか。誓痕の指輪。」
誓痕の指輪は国宝の一つであり、この国の初代国王と
私が同盟を結んだ証である。
「だが。偽物という可能性も。」
埒が明かないと判断した私は被っていたフードを取り、自身の素顔を曝す。
私の素顔を見た兵士達は青褪める。
「黒髪に黄金の瞳。まさか。本当に。」
「信じられないというのなら。今ここで証明して
あげましょうか?」
「ひいっ…失礼しました。どうぞお通りください。」
すっかり怯えた様子の兵士達に私は思わず溜息を付く。
(人間達からしたら。私の存在は恐ろしくて堪らない
のだから。当然の反応ね。)
そう自分に言い聞かせるように心中で呟きながら
私は王城の門扉を跨いだ。
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