46話『オネット視点:会得』
「っ…何だよ…これ?」
その現象に俺は戸惑いを隠せずにいた。
何故なら全く身に覚えのない記憶や経験がまるで
自身のものであるかのように。自身の中に
溶け込んでくるのだから。
「大丈夫か?オネット。」
心配そうにゼルドニカさんは俺の顔を覗き込む。
「はい。何とか。」
混乱しながらも俺はそう返答する。
「それでも身体に相当な負荷が掛かっておる。
じゃから。今日はここまでに――」
「大丈夫ですよ?もう感覚は掴めましたから。」
そう言って俺はその力を開放する。
それと同時に俺の体から瑠璃色のオーラが溢れ出す。
その現象にこの場にいた全員が息を呑む。
「私に匹敵する程の膨大で底知れぬ力。
それが貴方の魂の波動なのね?」
納得したようにリーシェは頷く。
「じゃが。それはお主の身に余る代物じゃ。
それを今のお主に扱えるとは到底思えん。」
険しい表情で告げるゼルドニカさんに俺は答える。
「確かに。この力は俺の身に余る代物です。ですが。
既に会得しているので。心配はいりませんよ?」
そう言って俺は魂の波動を収める。
そんな俺の言葉にゼルドニカさんは訝しむように
俺を見据える。
「あれ程までの力を。そんな一瞬で会得出来る筈が
ないじゃろう。」
「だったら試してみますか?」
そう言って俺は不敵な笑みを浮かべる。
「そこまで言うのなら。お主の言葉が本当か
どうか確かめるとしよう。」
そう告げた瞬間、ゼルドニカさんは一瞬にして
俺との距離を詰め、拳を振るう。
だが俺は難なくその拳を受け止める。
「ほぅ?儂の拳をこうも容易く…」
「それだけじゃないですよ?」
そう言って俺はゼルドニカさんに拳を叩き込む。
「ぐっ…」
俺の一撃を受けたゼルドニカさんの体が軽く吹っ飛ぶ。
とは言っても。俺自身ゼルドニカさんを傷付けたい
訳じゃない。だからこそそこまでの力は入れていない。
それにもし仮に俺が本気を出していたら、間違いなく
彼は無傷では済まなかった。
それを理解したからこそ俺は告げる。
「もう辞めにしませんか?」
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