44話『オネット視点:伝授』
俺が振り下ろした剣をゼルドニカさんは難なく指先で
受け止める。
「ふむ。中々に良い太刀筋じゃな。」
「難なく受け止めて置いて。よく言いますよ?」
そう言って俺は苦笑を零す。
「お主はちと誠実過ぎる。じゃから。
動きが読まれやすいんじゃよ?」
「つまり。単純って事ですか?」
「そうじゃ。じゃからもっと勝利に貪欲になれ。」
そう言ってゼルドニカさんは俺を吹っ飛ばす。
俺は即座に体勢を立て直す。
確かに。強い。
だがリーシェの戦闘を見た後だとどうしても見劣り
してしまう。
だからこそそこまで脅威に感じない。
「〈アブソリュート・ゼロ〉」
そう言霊を発すとゼルドニカさんの体が一瞬にして
凍結する。
「ふむ。氷魔法か?」
「流石にリーシェには劣りますけど。
一応魔法にも力入れてますから。」
そう言って俺は無詠唱で電撃魔法を放つ。
「ふむ。無詠唱でこの威力か?」
魔法が直撃したにも関わらず、ゼルドニカさんは
無傷だった。
「っ…無傷!?」
「魂の波動を纏えば。これくらいどうって
事はない。」
その言葉に俺はリナーシャさんの言葉を思い出す。
『武術を極める上で魂の波動は
必要不可欠なものです。ですので。
しっかりと目で見て学んでください。
魂の波動の極意を。』
(魂の波動の有無で。ここまでの差が開くものか?)
俺は改めて魂の波動の重大さを実感する。
そんな俺を見たゼルドニカさんは怪訝そうに眉を顰めた。
「何を惚けておる。この程度の事くらいお主にも
出来るじゃろう?」
「そう言われましても。魂の波動の存在を
知ったのはついさっきですし。
流石の俺でも見様見真似では会得出来ませんよ?」
そう告げるとゼルドニカさんは愕然とした表情を
浮かべる。
「それじゃあ。お主は本当に魂の波動
を扱えないのか?」
「逆に扱えるのなら既に実践していましたよ?」
「それもそうじゃな。」
ゼルドニカさんは腑に落ちたように頷くと
俺達の戦いを傍観していたリーシェに視線を飛ばす。
「それなら儂がこの者に魂の波動を伝授しても
宜しいですか?」
その問いにリーシェはコクリと頷く。
「ええ。構わないわ。元々そのつもりだったし。」
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