3話『魔女の悩み事』
誰もが寝静まった深夜。私はオネットを起こさないように
家の外に出た。
暫く森の中を彷徨い歩くと開けた場所に出る。
そこには大きな湖があった。
そして夜空に浮かぶ満開の星空が鏡のように水面に
反射し、幻想的な絶景が広がっていた。
「いつ見ても綺麗ね。」
そう言って私はその場に腰を降ろし、星空を見上げる。
「今日も駄目だったわね。」
そう言って私は大きな溜息を吐く。
私は今日のように何度もオネットに自立するよう
呼び掛けていた。それでもオネットは頑なに私から
離れようとしなかった。
「【終焉の大魔女】として恐れられる私が子育ての事で
悩んでるなんて知られたら。世界中の人々から
笑われてしまうわね。」
そう言って私は苦笑を零す。
「オネットが年相応に恋でもしてくれれば。
苦労しないのだけどね?」
と言っても実現は難しいだろう。
なにせオネットはどんな美女に言い寄られても
顔色一つ変えないどころか。興味すら示さない。
オネットは絶世の美男と言われている程には容姿端麗だ。
それ故に女性からの人気も凄まじい。
だが当本人は異性に全く興味がなく、必要最低限の
会話しかしない。
だからこそオネットに恋人が出来る確率など皆無に
等しいだろう。
「せめて気が合う友人でも出来れば。」
そこで私は一つの考えに行き着く。
「あそこならオネットを自立させれるかもしれない。
そうと決まれば。明日実行に移すとしよう。」
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