38話『気に掛ける理由』
自室に荷物を置いた後、私は一階にある書斎で
持ってきた魔導書などを本棚に収納していた。
と言っても。私は余り魔導書を必要としない為。
そこまでの量の魔導書は持ち込んでいない。
それにここには何万冊もの書物や魔導書が
収納されている。
故に書斎というよりは図書館に近い。
とは言っても。ここにある書物や魔導書は全て暗記
している為。余り私に需要は無い訳なのだが。
「一通り。魔導書の整理は終えたし。
そろそろ昼食の支度をしないとね?」
時計を確認すると既に時刻は午前11時を指していた。
私が書斎を出てキッチンに向かうと。そこには――
リナーシャの姿があった。
「昼食の用意は私がしますので。
主様は書斎に居てください。」
「そう。なら私は昼食支度が出来るまで。
書斎に居るわね?」
そう言って私は転移魔法で書斎へと戻る。
私は書斎の中心にある机の前の椅子に腰を掛けると。
異次元空間から本を取り出す。
私は読書が趣味で。よく他国から本を取り寄せていた。
私が読書に熱中していると。ゼルが書斎に入ってくる。
「オネットは一緒じゃないのね?」
「一応声は掛けたのですが。受験勉強に没頭したいから。
先に行ってて欲しいと言われて。」
「あの子は目的が出来ると。
その事に一直線になるからね。」
私は呆れたように溜息を零す。
「それはそうと。何故?リーシェ様はあんなにも。
あの少年の事を気に掛けているのですか?」
「あの子には王としての素質があるからよ?」
その言葉にゼルは目を見開く。
「なっ…それは本当ですか?」
ゼルが驚くのも無理はない。
何故なら“王”は世界の頂点に君臨する程の
最強クラスの力を持つ者にのみ与えられる称号だから。
「ええ。だからこそあの子は私に匹敵する程の
ポテンシャルを秘めている。」
「それがあの少年を気に掛けている理由ですか?」
その言葉に私は首を横に振る。
「別に私はあの子に素質があるから。
気に掛けている訳じゃない。
私はあの子の事を我が子のように思っている。
だからこそあの子には幸せになって欲しい。」
「それが貴女の本心なんですね?」
ゼルの言葉に私は頷く。
「ええ。でもそれと同時に不安もある。」
「不安ですか?」
怪訝そうな顔で告げるゼルに私は言葉を続ける。
「オネットはあの人によく似ているから。」
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