37話『オネット視点:選ばれし者』
その部屋にはアンティークな机とベッドが
置かれているだけで。それ以外は何もない。
本当に最低限な部屋だった。
俺は異次元空間からタンスを取り出し、部屋の隅に
配置する。
「後はリーシェが用意してくれた試験の参考資料を
机の引き出しに入れれば――」
そう言って俺が机の引き出しに開けると。
そこにはアンティークな本が入っていた。
「本?いや。サイズ的には日記帳か?」
そう思って日記帳らしき本を開く。
するとそこには見た事もない文字が綴られていた。
初めて見た文字の筈なのに。
俺には何故かその文字が読めた。
『この文字を選んだのは資格があるかどうかを調べる為。
つまりは選定だ。そして仮にこの文字が読めているの
だとしたら。君は選ばれし者だと言う事だ。』
「選ばれし者?」
言葉の意味が理解出来ず、俺は首を傾げる。
『言葉の意味が理解出来ないのも無理はない。
だけど。いずれ分かる時が来る。』
まるで。俺の事を見透かしているかのような文章に
俺は思わず息を呑む。
「一体何者なんだよ?この人。」
その問いに答えるかのように返答が綴られていた。
『俺はただの紛い物だよ。』
「紛い物?」
『まあ。俺が何者かなんて正直どうだって良い事だ。
重要なのは君が力を欲しているか否か。』
その言葉に俺はゴクリと唾を飲む。
『もし君が力を求めているなら。
君に最強の秘術を伝授しよう。
ただしそれを扱えるかどうか君次第。
まあ。君が本物ならきっと使い熟せるだろう。』
「本物?」
疑問に思いながらも俺はそのページをめくる。
するとそこには――
見た事もない魔法陣と魔法の詠唱が綴られていた。
「初めて見る魔法だな。」
そこに綴られていた魔法以外にも様々な魔法が
他のページにも綴られてあった。
どれも初めて見る魔法で。凄い新鮮な気持ちになった。
「どんな魔法かは実際に使ってみないと分からないな。」
そう言って最後のページをめくると。
一行だけ文が綴られていた。
『追記――この事は他言無用だからな?』
「それならリーシェとかにも。相談出来ないな。」
他言無用と書かれている以上。
他者に助言を仰ぐ事も出来ない。
「それに――」
この人がどうゆう意図でこの魔法を書き記したかが
分からない。
だからこそ真意が分からない訳だが。
不思議とこの人の言葉は信用出来た。
「リーシェの掛け替えのない人を。俺が信じない訳にも
いかないよな?」
そうして俺は秘密裏にこの魔法を会得する事を
決意するのだった。
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