35話『鈍感』
800年ぶりに訪れた屋敷の中は当時と全く変わって
いなかった。
その事実に私は思わず息を呑む。
「驚いたわ。まさか。屋敷の内装まで当時のままなんて。」
「リーシェ様達が屋敷を去られた後。あの方がリーシェ様
に代わって。屋敷の手入れをして居られましたからね?」
ゼルの言葉に私は納得したように頷く。
「なら手紙で礼を伝えておくわ。あの子とは毎日のように
文通しているし。」
その言葉にオネットは顔を顰める。
「そんな話初めて聞いたぞ?というか。
その相手ってのは男なのか?」
「そうだけど?それがどうかしたの?」
そう告げるとオネットはより一層不機嫌になる。
「リーシェ様って本当に鈍感ですよね?」
ゼルが呆れたように告げる。
「そう?これでも直感は鋭い方なのだけどね?」
そう告げるとリナーシャが苦笑を零す。
「直感の事を言ってるのではありませんよ?」
「そうなの?」
てっきり直感の事だと思ったのだが。
そうではないらしい。
「じゃあ。反射神経の方?」
そう尋ねるとこの場にいた全員が呆れ顔になる。
「まあ。そうゆう所がリーシェらしいけどな?」
そう言ってオネットは苦笑を浮かべる。
「機嫌が直ったのならそれで良いけど?」
「それにしても。めちゃくちゃ部屋あるけど?
どの部屋使えば良いんだ?」
「二階にある一番右側の部屋と一階にある書斎の部屋。
それと共同で使う部屋以外なら好きな部屋
使って良いから。」
「だったらリーシェが決めてくれないか?
その方が手っ取り早いし。」
そう言われたので。私はオネットが使う部屋を決める。
「それなら二階にある一番左側の部屋を使うと良いわ。」
その言葉にリナーシャが反論する。
「ですが。その部屋は――」
「だからこそオネットに使って欲しいの。」
そう告げるとリナーシャは渋々頷く。
「主様がそう仰るのなら。」
「なら私は自室に荷物を置いた後、書斎に向かうから。
用があれば書斎に来ると良いわ。」
それだけ言うと私は2階にある自室に転移するのだった。
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