33話『オネット視点:神龍』
「リーシェ様?」
龍の言葉に俺が困惑していると。
リーシェは何食わぬ顔で告げる。
「久しぶりね?ゼル。」
親しげに話すリーシェの姿に俺は呆然とする。
「知り合いなのか?」
「昔ここで一緒に暮らしてたからね?」
「そうか。」
ツッコむ事を諦めた俺は静かにそう告げた。
「ところで。その者は?」
そう言ってその龍は興味深そうに俺を見据える。
「その子はオネット・シルヴァーツ。
私が十五年程前に拾った子供よ?」
リーシェの言葉にその龍は食い入るように俺を見据える。
「つまり。リーシェ様が見込んだ逸材という事ですか?」
その言葉にリーシェは自慢げに微笑む。
「ええ。ポテンシャルに関しては私と同等だし。
才能に置いても申し分ないと思うわ。」
その言葉に龍は目を輝かせる。
「それは是非とも手合わせしてみたいものですね?」
目を輝かせながら告げる龍に俺は苦笑を零す。
「話を遮るようで悪いんだが。この龍は一体何なんだ?」
その問いにリーシェは平然と答える。
「彼はこの森を守護している神龍ゼルドニカよ。」
さも当然のように告げるリーシェに俺は度肝を抜く。
「なっ…神龍!?」
神龍は神の力を持つ最高位の龍族で。国の象徴にも
なっている。とにかく希少な龍だ。
そんな龍が目の前にいるという事実に。
俺は驚きを隠せない。
「そう臆せずとも取って食ったりせんわい。」
急に年寄り臭い喋り方になる彼に俺は苦笑を零す。
「そう言われましても。神龍なんて生まれて初めて
見ましたし。」
その言葉に彼は笑う。
「確かに。儂は神龍なんぞと呼ばれておるが。実際は
ただの老いぼれた龍じゃ。だからそこまで気を張る
必要はない。」
神々しい黄金の鱗に包まれた美しい龍。
けれども彼は外見に見合わない年寄り臭さと広い心を
持った優しい龍だった。
「これから宜しくお願いしますね?ゼルドニカさん。」
こうして新たな家族が増えたのだった。
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