30話『オネット視点:唯一の弱点』
リーシェの言葉にルセスは邪悪な笑みを浮かべる。
「互いを愛するが故に。己の犠牲にする。どちらも
傲慢で身勝手な愛情。それを互いに押し付け合う姿は
滑稽でしかない。」
その言葉にリーシェは俺から離れる。
「私の愛が独り善がりである事くらい。自分でも
分かってる。だけど。私はそれが最善だと思った。」
「彼の幸せを奪う事こそが最善だと。貴女はそう仰る
のですか?」
「どちらにせよ。結末は変わらない。
だから私が足掻いた所で何か変わる訳じゃない。
誰も世界の理には逆らえない。」
その言葉はまるで自分の行動は全て無意味だと
言ってるかのようだった。
「リーシェ。」
そう俺が呼び掛けるとリーシェは凛とした態度で告げる。
「でも諦めるつもりは毛頭ない。
変えたい結末があるからこそ。
私は最期まで抗う。例え私の行動が全て無意味
だったとしても。」
そう告げるリーシェからは断固たる決意が感じ取れた。
「以前までの貴女なら考えられない発言ですね?」
「誰だって守りたいものが出来れば心変わりするものよ?」
そう言ってリーシェは俺を見据える。
そんなリーシェを嘲るようにルセスは告げる。
「ですが。彼の存在は貴女にとってリスクでしかない。
何故なら彼は貴女の唯一の弱点だから。」
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「俺がリーシェの弱点?」
「貴方は主様が唯一気に掛けている存在。故に人質の
価値がある。」
ずっと黙って話を聞いていたリナーシャさんが淡々と
告げる。
「リーシェを守るどころか。却って俺はリーシェを
危険に晒してたって言うのか?」
その事実に俺はショックを受ける。
そんな呆然とする俺にルセスは今一度手を差し伸べる。
「ええ。だから貴方が彼女の傍に居れば、より彼女が
傷付く事になる。ですから。私と共に来てください。
そうすれば――リーシェ様の安全は担保されますから。」
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