29話『生きる意味』
私の為に必死に葛藤するオネットの姿に私は考えるよりも
先に体が動いた。
「リーシェ?」
気付けば私はオネットの事を抱き締めていた。
「ごめんなさい。こんなにも貴方が悩んでいるのに。
私は貴方に何もしてあげられない。」
自身の無力さを嘆くように私は吐き捨てる。
「そんな事ない。リーシェはいつだって俺をこうして
支えてくれる。そんなリーシェが居るから俺は前を
向けるんだ。」
その言葉に何かが込み上げそうになる。
だが私はそれをグッと堪えながら告げる。
「ありがとう。こんな私なんかを必要としてくれて。」
それは紛れもない私の本心。
オネットと出会って居なければきっと私は今頃自らの命
を絶っていただろう。
オネットが私を必要としてくれるからこそ私は自分を
保てていられる。
そんなオネットは紛れもなく、私の生きる意味そのものだ。
だけど。それで私の自殺願望が消えた訳じゃない。
オネットが何を言おうとも私は生きてて良い存在
じゃないから。
この世界に私の居場所なんてものは存在しない。
そんな私の心情を悟ったのかオネットは告げる。
「俺はリーシェの事情なんて知らないし。
何で?死にたいのかも分からない。
それでも俺はリーシェに生きていて欲しい。」
「貴方がそう思うように。私もオネットに生きていて
欲しいし。幸せになって欲しい。」
「俺はリーシェが居ない世界で幸せになんてなれない。
俺にとっての幸せはリーシェとずっと一緒に居る事
だから。」
それが叶わない願いである事くらいオネットも理解
している筈だ。
それでも願わずには居られない。
「素晴らしい親子愛ですね?」
私達の会話に水を差すようにルセスが割って入る。
「空気が読めない奴ね。」
私は呆れたように溜息を吐いた。
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