20話『オネット視点:刻印天賦』
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「俺の刻印天賦に?」
『刻印天賦』とは刻印が刻まれた者だけが所有している
権能の事で。人知を越えた超人的な力を有している。
「と言っても。その刻印天賦は今の貴方が扱える
代物じゃない。だから恐らく無意識的に発動したん
でしょうね?」
「そんな事可能なのか?」
「本来なら不可能だけど。貴方の刻印天賦は色々と
特殊だから。」
その言葉に俺は小首を傾げる。
「特殊?それってどうゆう?」
「今はまだ話せない。だけど。貴方はいずれ全てを
知る事になる。」
そう告げるリーシェの表情はいつになく暗かった。
「今はまだ話せないか。」
そう言って俺は溜息を吐く。
「そんな事より。ご飯出来てるけど。食べる?」
その言葉に俺は小首を傾げる。
「食べるも何も。さっき食べたばかりだろ?」
「貴方こそ何を言ってるの?貴方はリナーシャに
ボコボコにされて。さっきまで寝込んでいたじゃない。」
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「そんな筈ない。だって俺は…」
その言葉の続きを紡ごうとした瞬間――
「あがっ…」
再び耐え難い激痛が全身を襲った。
「貴方は今それらに関する情報の他言を制約により
禁じられている。だからそれを口にしようとすると
全身に激痛が走る。」
「ならあれは全て実際に起きたって事なのか?」
「それが何なのか分からない以上返答は出来ない。
ただ一つ言える事があるとするなら。貴方には
存在する筈のない記憶があるという事。」
その言葉に俺は思わず息を呑む。
「存在する筈のない記憶?」
「貴方にはまだ実際に起こっていない筈の出来事が
記憶として残っている。まるで。未来から来たかの
ように。」
「つまり。俺は過去に戻ったって事か?」
「さぁ?正直それは私にも分からない。
貴方の刻印天賦は色々と謎が多いから。」
「リーシェでも分からないなら。お手上げだな。」
俺は諦めたように溜息を吐く。
「話したい事もあるし。ひとまずご飯にしましょうか?」
「それもそうだな。」
そう言って俺は手を洗いに行くのだった。
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