18話『オネット視点:絶望』
「とりあえず。早くリーシェの元に…」
俺がそう告げた瞬間――
新たな終焉教徒の集団がこの場に駆け付けた。
「くそっ…こんな時に…」
応戦しようと即座に体勢を立て直した。その直後だった。
「ゔっ…」
突如として教徒達が苦しそうに呻きながら
その場に倒れた。
「何が起こって?」
突然の事に困惑する俺に対し、リナーシャさんは釈然
とした態度で告げる。
「恐らく主様が終焉の力を使ったのでしょう。」
含みのある言い方に俺は不安を覚える。
「今から転移魔法で主様の元に移動する。
だから貴方も覚悟を決めなさい。」
その言葉の真意を俺は理解出来なかった。
いや。正確には理解したくなかった。
それを理解してしまったら俺はきっと正気を保てない。
だからこそ俺は出来るだけ考えないようにしていた。
そして俺達は転移魔法で自宅の前へと移動する。
するとそこには大司教と思わしき者達が口から
血を流し、倒れていた。
一切の生気を感じない事から既に息絶えてる事が
分かった。
でも正直そんな事はどうでも良かった。
だってそのすぐ近くには地に倒れるリーシェの姿が
あったから。
「リーシェ!!」
俺はすぐさまリーシェに駆け寄る。
だけど。リーシェの体は氷のように冷たくなっていた。
その瞬間――
俺を形成していたものが一気に崩れていくのが分かった。
俺にとってリーシェは全てだった。だからこそ俺は
リーシェの為に勇者を志した。
リーシェが居たからこそ俺はどんな理不尽にも耐えて
来れた。
そんな心の支えだったリーシェを失った今の俺には
もう絶望しか残されていない。
放心する俺の元にリナーシャさんが駆け寄った。
「主様は貴方を導くように言った。
だから私は貴方の導く手となる。」
「俺は…」
「主様は貴方を守る為に。自らの命を犠牲にして
この世から不必要な悪を未来永劫葬った。」
「だからこそ何が何でも生きろって事ですね?」
その言葉にリナーシャさんは頷く。
「それが私達の出来る。最大限の弔いよ?」
「それもそうですね?だったら俺も…」
そう俺が告げようとした。その瞬間だった。
グシャッと何かが潰れる音と共に俺は血反吐を吐き、
その場に倒れた。
「オネット!?」
困惑した様子でリナーシャさんは駆け寄り、
俺に治癒魔法を掛ける。
そのお陰で辛うじて意識を保てているが。
心臓が潰れた俺はもう時期死んでしまうだろう。
薄れ行く意識の中一つの声が頭の中に響く。
『今一度正せ、世界を在るべき姿に。』
そんな言葉と共に俺は意識を手放した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次話もお読みいただけると嬉しいです。
良ければ感想、評価よろしくお願いいたします。




