13話『オネット視点:在り方』
その言葉に俺は思わず涙を流す。
いつだってそうだ。リーシェは俺を勇者としてではなく
1人の人間として見てくれる。
そんなリーシェに俺はいつも救われているんだ。
「俺は…」
泣きじゃくる俺にリーシェはハンカチを差し出す。
「別に学園を強要させるつもりはない。
だから貴方のやりたいようにやれば良いわ。」
そう言ってリーシェは俺の頭を撫でる。
その横でリナーシャさんが氷のように
冷たい表情で俺を睨み付けていた。
余りにも恐ろしい表情に思わず俺の涙が引っ込んだ。
「情けない姿を見せて悪かったな。」
「別に良いわよ。それくらい。」
リーシェは何食わぬ顔で紅茶を飲む。
その姿に俺は惚れ惚れとしてしまう。
これが大人の余裕ってやつか?
リーシェの余裕ある振る舞いに感銘を受けていると。
リナーシャさんが殺意に満ちた表情で呟く。
「これだから汚物は…」
怖いよ。リナーシャさん。
「それで。今日もギルドでクエストを受けるの?」
リーシェの言葉に俺は頷く。
「ああ。少しでも早く強くなりたいからな?」
そう答えるとリーシェは不安げな表情を浮かばせる。
「そう。余り無理だけはしないようにね?」
それだけ言うとリーシェは何事も無かったように料理
を食べ進める。
言いたい事があってもリーシェは殆どそれを口に出さない。
きっとリーシェはずっとそうやって本心を押し殺して
生きてきたのだろう。
その苦しみは俺には到底計り知れない。
だからこそ俺はリーシェを守れるくらい
強くなって。リーシェが心から笑えるような
世界を実現させる。
故にその為だったら俺は何だって犠牲にする。
それが俺の在り方だ。
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