11話『オネット視点:いつもの食卓』
ふわりと香る食欲を誘う匂いに唆られ、俺は目を覚ます。
視界には見慣れた天井が映っていた。
「俺…気を失ってたのか?」
そう言って俺は体を起こす。
「目が覚めたのね。」
その聞き馴染んだ声に俺の心は安らぐ。
俺を育ててくれた俺の最愛の人。
「貴方も懲りないわね。」
呆れたようにリーシェは吐き捨てる。
「諦めの悪さが俺の取り柄だからな?」
そう得意げに笑うとリーシェは呆れたように溜息を零す。
「もっと危機感を持ちなさい。そんなんじゃ。
命が幾つあっても足りないわよ?」
「逆にリーシェは俺が慢心するような奴に見えるか?」
「でも貴方自己犠牲精神の塊じゃない?」
「リーシェにだけは言われたくないな。」
実際。リーシェは自身の身を顧みない。
そんなリーシェを見て育ったのだから。
俺がそうなるのは避けようのない事だ。
「それで。ご飯の用意出来ているけど?どうする?」
「勿論。食べるに決まってるだろ?」
リーシェのご飯を食べないなんて考えられない。
「だったら手を洗って来なさい。」
「分かった。」
そう言って俺は立ち上がり、手洗い場に向かう。
手を洗って戻ると食卓には料理が乗った皿が並べてあった。
俺は椅子に腰を掛け、手を合わせる。
「いただきます。」
そう言って箸を手に取り、料理を口に運ぶ。
「美味い。」
そう口にすると向かいの席に座っていたリーシェが微笑む。
「それなら良かった。」
そう言ってリーシェも料理を口に運ぶ。
その隣でリナーシャさんが礼儀正しく料理を
口にしていた。
「ところで。リーシェは何処へ行ってたんだ?」
その問いにリーシェは間髪入れずに答える。
「国王との謁見よ。」
「何でまた?」
そう尋ねるとリーシェは食事の手を止め、いつになく
真剣に答える。
「貴方を王立魔法騎士学園に通わせる為よ?」
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