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問題発生

不覚にもヒロイン、いやエリナリナの物語では語られなかった心情をきいてしまい大号泣してしまった私は考えた

これはもう成り代わりだとか言ってる場合じゃねえと

そりゃそうだ私が破滅しなくてもエリナリナが幸せになれないのならそんなの嘘だ

私は誰かを不幸にしたいわけじゃないのだから

思い立ったら有言実行、即行動それが私のポリシー

お父様にはあとで説明するとしてまずは孤児院にいってエリナリナを引き取るむねを伝えましょう

しかしエリナリナか…ちょっとだけ長い名前よね?


「ねぇエリナリナ」

「なんですか?ヒスイ様」


「エリーって呼んでもいい?」

物語での愛称はリナだったはずだけどあえてエリーと呼ぶ

なるべく細かいところでも物語の大筋から外れてみようという姑息な作戦である


「もちろんです。お好きなように呼んでくださいっ」

「ありがと」


とってもきれいな笑顔で返してくれたエリー

こういうのを花がほころぶようっていうのかしら?女の私でもすこしドキッてしちゃったわ…おそろしい…これがヒロインぱわぁーなのね…


「エリーも私のことは好きに呼んでくれていいのよ?様付でなくても」

「いえいえ!私はヒスイ様って呼ばせていただければ満足ですので!!」


とてつもない勢いの拒否である

なんだ?好感度か?好感度が足らんのか?

まぁ身分差もあるしいいか…少し残念だけども

うちでエリーを預かるってなるとやっぱりメイドさんみたいな感じになるだろうしそのほうがいいかも

メイドといえばメリッサだけど

現在メリッサは私たちのはるか後方からついてきてくれている

というのも龍のリアがメリッサを怖がるためだ

龍にすら恐れられるとは恐ろしい存在ようちのメイドは…

あと個人的にメリッサは孤児院にあんまりいい感情を持っていないだろうしあんまり近づけたくないという私の個人的感情もある


まぁそんなこんなで孤児院に到着

と同時に絶句

ぼろいなんてもんじゃない

やばい

それくらいボロボロな建物だったのだ


「ねぇエリー?ほんとにここであってる?」

「はいヒスイ様。ここで間違いないですっ」

「きゅきゅ~」


まじか~こりゃあきませんわ

ここは王国からさまざまな「いらないもの」を置き去りにされるところではあるがこれは少し酷いのでは?

孤児院って小さい子供もいるでしょう?エリーだって7才だし

この状況お父様は知ってるのかしら?しってて放置してるのならお父様の評価だださがりだけど

私が悶々と考え事をしていると扉が開き中から可愛らしい女性が現れた

いやまだ少女だろうか?幼さの残るその顔は成人しているのかどうかは微妙なところだが全体的に庇護欲を掻き立てるようなそんな女性


「あぁ!エリナリナちゃん!どこに行ってたの!心配したんですよ」

「ごめんなさいシスター…」

どうやらこの女性がこの孤児院を運営しているシスターのようだ


「ううん無事だったならいいのよ。もう勝手にどこかにいっちゃだめですよ」


ひしっとエリーを抱きしめて涙ぐむその姿に優しいひとだなぁと思ったチョロい私

しかしそろそろ私も話に入れて欲しいところなので声をかけることにした


「もし?シスターさん少しいいかしら?」

「あら?あなたはどこの子かしら…?見かけない顔だけど」


「お初にお目にかかりますわ私はヒスイ・スズノカワ。このあたりの領地を取り仕切っておりますスズノカワ家の娘でございます」

「っ!帝国貴族の…!ここに何の用ですか!あなたたちが何をしようと私はここを絶対に守って見せますから!」


あれれ~?めっちゃ警戒されてるぞ~?


「落ち着いてくださいシスターさん。私は別にこの場所に何かしようだとかそんな理由できたのではありませんわ」

「だったらなんの用ですか!この場所にも子供たちにも指一本触れさせはしませんから!」

「なになに?シスターどうしたの?」


「みんな来ちゃダメ!中に戻って!」


シスターさんの声につられたのか孤児院から小さな子供がわらわらとでてきた

全員で5人だろうか

私と同年代か少し下くらいの子供たち

建物と同じようにボロボロだ

やっぱりこの孤児院ダメなんじゃないだろうか

かなり追い詰められてる気がする

子供好きそうなシスターさんがスズノカワの人間というだけで子供の私にここまで敵意を見せるのがその証拠ではないだろうか


「わかりました。ちょっとお話しできそうな雰囲気でもないですし今日は一度帰らせていきます」

「え、ヒスイ様そんな…」


エリーはがっくりと肩を落としたがこんな状況でエリーを連れて帰るとは言えないよ私は…うん


「でもシスターさん一つだけ教えてくださいまし、この孤児院はちゃんと経営できているんですか?」

「何をしらじらしいことを!あなたたちが孤児院にお金を回してくれないから…!この子たちがどんなひもじい思いをしてると思ってるんですか!?…子供のあなたにこんなこと言っても仕方ないのはわかってます…でもあなたがそんなきれいな服を着れる裏にはこの子たちのような子がいるってこと少しは考えてください!」


そんなこと急に言われても…

しかしやっぱりお金は回ってきていないようだ

しかしお父様が孤児院にお金を回していないなんてことがあるのだろうか?

たしかにお父様は厳しい人だけど人でないしではない

厳しくて優しいそんな人だ

これはちゃんと確認したほうがいいかもしれない


「わかりましたではこれで…お邪魔いたしました。エリーもまた今度改めて迎えに来るわね」

「迎えに来ていただけるんですね!はいっ私はヒスイ様のことをずっとまっています…いつまでもずっと…」


「いやそんなに長くは待たせないから安心しなさいな」

大げさな子である

私は孤児院を後にした


「ねぇメリッサ…さっきの話どう思う?やっぱお父様が意地悪をしてるのかしら?」

「さぁ…私にはわかりかねます」


帰り道でメリッサと話してみるがやっぱり釈然としない

私はお父様をやっぱり信じたいのだ

ただ現実として孤児院があんな状況なのも事実なわけで

難しい…

そしてもう一つ大切なことが


「ごめんなさいメリッサ…妹さんの件もう少し時間がかかりそうだわ」

「いえ大丈夫です、きっと妹も孤児院のほうを何とかしてほしいと思うはずですから」


「そっか…うん!よっしいっちょ頑張りますか!」

目指せハッピーエンド!

幸せは一人ではなりえない

私一人が楽しいより

周りがみんな幸せでいてくれたきっとそれはもっと素敵なことだと思うから

せめて私が関わったみんなくらいは幸せでありますように

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