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エリナリナ視点 出会いと覚醒

それはきれいな少女だった

私と同じくらいの歳の女の子

釣り上がり気味な目にさらっと伸びた漆黒の髪

自信に満ちたような表情…何もかもが私とは正反対

そう思わせた少女はいつのまにかそこにいて大きな声で私とリアを呼び止めた。


「あ、あの…私ですか…?」

「そう!あなたよ!あなた以外誰がいるって言うのっ!」


びしぃ!

そんな音が聞こえてきそうな勢いで指を突き付けられる


「きゅきゅっ?(なになに~?お友達なの~?)」

「ううん…知らない子だと思うけど…」

「そこ!私を置いてこそこそ喋らない!何言ってるかわかんないし!」


なんか怒られた

うぅ~なんなのこの子…


「私はヒスイっていうの!あなたの名前は?」

「あ…えっと…エリナリナです…あとこの子はリアです…」

「きゅっ!」

腕の中にいるリアにも挨拶をしてもらう

ヒスイと名乗った女の子は私とリアを見つめるとぼそぼそと何かつぶやいていた


「なるほど…名前はやっぱりあの物語と一緒…ぶつぶつ…」

「あの…?」


「あらごめんなさい。ちょっと考え込んでしまったわ…さて早速だけどあなたそのリアって子のこと何なのか知っているのかしら?」

「え…あ、はい…一応…」


知っているというか今知ったというか

でもヒスイちゃんはリアのこと知ってるのかな?龍って有名なのかなぁ


「なら話は早いわね!その龍を私に渡してほしいの!」

「え!?そんなことできません…」


ヒスイちゃんはむっとした顔をすると私に詰め寄ってきた


「あのね?あなたは知らないかもしれないけど私の家はとっても偉いの!」

「偉い…貴族様ですか?」


「そう貴族!この辺りは私の家の領地なの!おわかり?」

「はっはい!…ヒスイ様ってお呼びすればいいのでしょうか…?」


「呼び方なんてどうでもいいわ!偉いのは私じゃなくてお父様だもの…でもね?その娘である私もいずれは偉くなるの!」

「えっと…そうですね…?」


「あなた龍と一緒にいるってことがどれだけ大変なことか理解してる?ほんとう~~~~~~~~~~~に大変なのよ?断言してあげるけどこれからのあなたの人生は困難とハプニングの連続よ?それにあなた一人で対処できるの?私ならできるわ!だって偉いもの!家が!」


これでもかというくらいにまくしたてられて頭がぐるぐるしてる私

でもどうやらヒスイ様はリアと一緒にいると大変だから渡してほしいということを言いたいみたい

でも…

私はリアをぎゅっと抱きしめた


「でもリアは…大切な友達なんです…独りだった私にやっとできた友達なんです…うぅ」

「ちょっ、ちょっと!泣かないでよ!これじゃイジメてるみたい…わかった!わかったわよ!渡さなくてもいいからちょっとその子に私と契約してくれるように言ってくれないかしら?それでいいから!」


契約だけでいいのなら…いいのかな…?

「リア。ヒスイ様と契約ってできる?」

「きゅっ~…(だめだよ~もうリナとしちゃったもん~契約は一人としかできないし変更ってすっごく面倒なんだよ~?それに…)」


じっとリアが探るような眼でヒスイ様を見つめる


「な、なによ…私になにか不満でもあるのかしら!?」

「きゅぅう~(この人、魔力が全くないから契約できないよ~)」

「あ、あの…ヒスイ様には魔力がないから契約できないそうです…」


その瞬間

ずしゃあ…という音とともにヒスイ様がその場に倒れ伏した


「ちくしょぉおおおおお!やっぱり魔力か!なんで転生特典とかないのよ!チートくれよぉぉおおお!」

す、すごい…何を言ってるのかさっぱりわからないけど絶望してる感だけは伝わってくる…!!


「あ、あの…大丈夫ですか?」

「これが大丈夫に見えるの!?」


「見えないです!」

「でしょう!?ならそっとしておいて!」

「きゅきゅっ(なんだか面白いね~この人)」


そうだね…リアに少し同感

ふふっ

なんだか笑いが込み上げてきた

やがて落ち着いたのかヒスイ様はむくりと立ち上がるとすたすたと歩きだした


「あ、あの…?」

「もういい…今日は諦めて帰る…」

とぼとぼと歩くその姿になんだか申し訳ないことをしたような気持が湧いてくる


「えっと…なんだかすみません…」

「いいのよ…あなたもついでに送ってあげるから一緒に来なさいな。近くの孤児院に住んでるんでしょ?」


ヒスイ様はなぜか私が孤児院の子だと知っていた

送ってくれるなんて優しいなと思ったけど私は…


「私…帰りたくないんです…」

「あら…どうかしたの?そういえば私詳しくは知らないのよねここら辺の理由…よしこの私に話してみなさいな!もしかしたらすっきりするかも?」


そういわれて私は全て話してみることにした

ヒスイ様になら話してみたほうがいいかもしれない

なぜかそう思った

そして


「だから孤児院に居場所がない気がして…」

話してるうちにさっきたくさん泣いたはずなのに涙が込み上げてきた

変な子だと思われたかもしれない

私はそっとヒスイ様を見た

すると


「ふぅううう~うっうっ…うわぁあああああああああん」

大号泣していた


「えぇ!?ヒスイ様!?」

「うわぁああああん!!ごめんなさぃ~!そんなこと考えてたなんてしらながっだのぉおお~うわぁああああん!」


どうやら私の話を聞いて泣いてくれているみたい

そんなに泣かれたら私の涙はなんだかひっこんじゃんたみたい


「ヒスイ様…あの…泣きやんでください…私は大丈夫ですから」

「ぐすっ…私決めたわ…エリナリナ!」


「はっはい!」

「あなたをうちで雇ってあげる!」


「ええ!?突然何を!?」

「そのかわりあなたも私に協力してもらうから!もちろんリアもよ!」

「きゅっ!?」


「そうよそれがいいわ!私とあなたたちが仲良くなれば何も問題ないじゃない!さすが私!名案よ!そうと決まればまずは孤児院にレッツラゴー!よ!」


ぐいぐいとヒスイ様は私の手を引いていく

何が何だかわからない!


「そうだ!エリナリナ私の家ではねみんな家族なの。血の繋がりなんてなくてもみんなが家族…だからあなたの両親の代わりにはなれないかもだけど私のことはお姉ちゃん的なものと思ってくれてもいいわよ!」

「え…お姉ちゃん…?」


その言葉は私の心に驚くほどするりと入ってきた

私の家族

もう二度と手に入らないはずの大切なもの


「ヒスイ様は…私と家族になってくれるのですか…?」

「まっかせなさい!私に二言はない時のほうが多いわ!さぁまずは孤児院に行くわよ!ほら早く!」


今日この日

私はきっと新しい私になった

そう思った

新しくできた家族みたいな人

嬉しい

でも

本当の家族でさえあんなにあっさりと奪われた

なら今回は?

もう無くしはしない

そのためにできることは何でもしよう

私から大切なものを奪おうとするすべて

それをもう許しはしない

私には力があるのだから


登場から短時間で少し様子がおかしくなってしまいましたね…エリナリナには私の「好き」がつめこんであるのでもっとおかしくなってもらう予定です

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