ヒロイン登場(まだ正常)
前回までのあらすじ☆
私ヒスイ・スズノカワ7才!異世界転生して今をトキメク物語の悪役(予定)☆
そんな私が運命を変えようと行動したらアラ大変☆
破滅フラグ立っちゃった☆てへぺろ☆
「終わった…わたしの人生は今日ここで終わったのよ…」
すべてが終わった
ヒロインと龍が出会ってしまった…
もうどうすればいいのかわからん。
グッバイ二週目の人生
短かったけど楽しかったよ…
「お嬢様、お嬢様。うなだれてるところ悪いですけどどういう状況なんですか今?見たところあれはまさか龍の子供?お嬢様は龍に用があったのですか?」
「うん…でももう駄目よ…私の人生はここで終わったの…」
ごめんねメリッサ…私はもうだめだぁ…
「龍…なるほど…龍の力があれば妹を助けることができるんですね?わかりました私が力づくでも捕まえてきます」
ちょっとまって!!!?力づくはダメよ!あなたが本気になったらシャレにならないでしょう!?
ヒロインちゃんだってただでは…
いや待てよ?
力づく…?
「それだ!それよメリッサ!」
「どれですか?やりますか龍」
やっちゃだめよ
「とにかくメリッサはここにいて。私が何とかするわ」
「よくわかりませんがわかりました。龍は生体に謎が多いのでお気を付けを…何かあれば動けるようにはしておきますので声の一つでもあげてくださいませ」
「ええ、心強いわ」
そして私は進んでいく
ヒロインと龍がいるその場所へ
この道が破滅へとつながっていないことを信じて
私の優秀な頭脳はこの状況を打開する作戦をすでに導き出している
力づく
そうノリと勢いでヒロインから龍を奪い取る
もうこれしかない
そして目前には何度も何度も焦がれた物語の1シーン
そこには本来いないはずの私
運命を変えたいから高らかにぶち壊してあげましょう
きれいなはずの物語に黒い染みを、美しいはずの光景に泥を
息を吸って大きな声でいざ運命に戦いを
「そこのあなた!ちょっと待ちなさい!」
~~~~~~~~
私はきっと恵まれていたのだと思う
エリナリナ・キールス
大好きな両親からもらった大切な名前
私の家は裕福ではなかったけどそれでも幸せだった
大きくて優しかったお父さん
きれいで暖かかったお母さん
大切な私の家族
お母さんと一緒にご飯を作ってお父さんにお仕事の話を聞いたりして優しかったあの時間
それはある日あっさりと終わった
なんだかいろいろ説明を受けた気はする
魔物だとか事故だとか
でもそんなことどうでもよくて
私にはもう悲しいのか悲しくないのかも分からなくなっていた
そして私を引き取ってくれたのは小さな孤児院だった
そこには私と同じような境遇の子がたくさんいたけれどでも私の居場所ではないような
そんな居心地の悪さを常に感じていた
孤児院になじめなくて今日みんなには内緒でこっそりと抜け出した
どれくらい歩いたんだろう?私は私の居場所を探して歩き続けた
でもこんなに小さな私がどれだけ歩いたって遠くに行けるわけもない
分かっていたけど歩くしか私にはできなかった
気づくとそこはきれいなお花畑だった
「きれい…」
そう思った
一面に咲くきれいな花々
その中に家族みんなんで育ててた花を見つけたとき
私は涙が止まらなくなっていた
しばらくして泣き疲れた私の足元になにか小さなものがいることに気づいた
「きゅっきゅっ?」
それは不思議な生き物だった
翼のついた赤い蛇?と言えばいいのだろうか
でも手足もあってとにかく不思議な生き物だった
その生き物は私の足元にじゃれつくとこちらを覗き込むように見上げてきた
「あなた見たことない動物さんだね…おとなしいし魔物じゃないよね…?」
「きゅきゅっ?」
その子を持ち上げるとほんのりと暖かかった
「あなたも一人なの?私もなんだ~」
「きゅ!」
ぺろぺろと頬を舐められた
「くすぐったいよ~あははっ!ねぇあなたも一人なら私と一緒にくる?孤児院に帰ればシスターがあなたのお友達を知ってるかもしれないし」
孤児院にはシスターというお姉さんが私たちの面倒を見てくれていた
もしかしたらあの人ならこの子が何なのか知ってるかも!
「きゅっ~!」
「そっかそっかぁじゃあいっしょにいこ!私はエリナリナ!あなたの名前は「リア」ね!私の名前をもじってリア!よろしくね!」
次の瞬間
リアが突然強い光を放ったかと思うと身体がとても熱くなった
怖いと思ったのも一瞬
光と熱はすぐになくなった
そして
「(よろしくねエリナリナ!私がリアだからエリナリナのことはリナって呼ぶね!)」
「え!?」
それは幼い女の子の声だった
「今…リアが喋ったの…?」
「(うん!私と契約した人は私の声が聞こえるようになるんだよ!)」
「契約っていったい…」
そう思ったけど私はそれが何か理解していた
頭に入ってくるのだまるで初めから知ってたことのようにこの子…龍についての情報や契約についてなど
どうやら私は大変なことに巻き込まれてしまったらしい
これからどうなるのか不安とか色々なものが私の中でごっちゃになってたその時
その人は現れた
「そこのあなた!ちょっと待ちなさい!」
私はこの日を一生忘れない
のちにそう思った