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力こそが正義

私の目の前にいるのは間違いなく革命の乙女(笑)さんだ

しかしなんといいますか…こう…やさぐれた?目元のクマがすごいし目つきも悪い…服もなんだか薄汚れてるし…闇落ちしたの?しちゃったの?


「あ~え~と…久しぶり?」

「ふざけてますの?」


「いや真剣ですけど…誘拐されてるわけだし」

「誘拐だなんて心外ですわ」


いやまごうことなき誘拐ですが?

むしろなんだと思ってるの一体?


「そうですか~誘拐ではないのなら帰っていいでしょうか?お邪魔しました~」


とりあえず来た道を戻ろうとしたら男たちに行く手を塞がれてしまった

ですよね~

ちなみにフウカさんのほうをちらりと見ると「もう少し粘って!」と手帳に書き込まれていた

…何を?

私の疑問を感じ取ってくれたのかなんなのか今度はナクロが革命の乙女(笑)さんを指さした

もっと会話してってことかしら?


「おい、姫様を無視してどこを見ている。この悪女が!」

突然横からお腹を殴られた

衝撃を受けて倒れ込んでしまうがやはりなぜか痛くない

もうさっきから私の身に起きていることが何一つとして理解できない

だれか助けてくれ

まぁしかしこのままではよろしくないようなので、さも痛がってますよ~感を出しつつ立ち上がり革命の乙女(笑)さんに向き直る


「あいたたた~…あの、帰してくれないのならそろそろなんで私を連れてきたのか話してもらっていいですか?」

「そんなの決まっているでしょう?決闘のやり直しをするのです」


「はい…?」

「あの決闘はあなたのイカサマによって終わりました。そのせいで私もここに居る者たちも領地を奪われ不当な追放という目にあいました。よってそれらのすべてを清算するためにあなたに今一度決闘を申し込みます」


あいかわらず言ってることがめちゃくちゃだ


「あの決闘はどちらかと言うとイカサマというか卑怯な手を使ってきたのはあなたのほうでは…?」

「私は勝つために準備をしたまでです。正々堂々の神聖な勝負を汚したのはあなたです」


「あの、そこまで言うのなら私がどんなイカサマをしたっていうんです?まさか手段もわからず証拠もなくで私を咎めてるわけじゃないですよね?」

「・・・・」


おい黙ったぞこの革命の乙女(笑)

そういうのをいちゃもんって言うんだよ!!!!


「はぁ…とにかくもう帰っていいですね、帰りますよ」

「なりません。ここであなたを倒さなければ私は皆に顔向けできません」


革命の乙女(笑)さんはあの時と同じように細剣を引きぬき私に向けた


「いくらなんでも不毛すぎませんか…そもそもここで私と決闘して勝ってもなんにもならないでしょうに」

「ここであなたを降せば便宜を図っていただけるとキースロイス殿下より承っています」


嘘でしょう?


「殿下が…?」

「ええ。ここまであなたを連れてくる手筈もすべて殿下が手引きしてくれました」


もうあいつ本当に嫌い

どこまで人として終わってるんだあいつは!覚えにくい名前しやがって!いまだに私は名前言えないぞ!!

どう思うよフウカさん?

ちらっとフウカさんを見るとこちらにサムズアップしていた

あなたもどういう事よ本当に


「もうわかった!わかりましたよ。いろいろ納得はできませんが正々堂々というのならお受けしますのでこれほどいて…」


その時、一瞬だけ視界の隅で光がきらめいたかと思うと私の顔めがけて細剣が迫っていた

慌てて身体を捻ってかわすも肩にかすってしまい着物が破れてしまった


「ちょっ…!!それ本物の剣じゃないの!!しかも突然…!」

「前回はあなたにしてやられましたからね。条件を対等にさせていただきました」


「はぁ!?これのどこが対等なのよ!縛られて身動き取れないしそっちだけ剣使っておかしいでしょう!?」

「おかしくはないですよ。あなたがどんな手段に出るかわからない以上は対策をするのが当然です…さぁあなたもどうぞ?卑怯な手を使ってくださいな。私はそのすべてを正義の名のもとに打ち砕いてみせます」


こいつヤバすぎる

本当にそれでいいと思ってるの?まともな話ができなさすぎるでしょう!?

逃げないと…なんとかフウカさん達と一緒に


と、後ろから突然蹴られた


「きゃっ!」

見ると周りの男たちの一人が私を蹴り飛ばしたらしい

そして他の男たちもよく見るとそれぞれが角材などをそれぞれ握りしめてこちらに近づいてきていた


「噓でしょう…こんなの決闘ですらないじゃない!」

「先に決闘を汚したのはあなたです。それに私が許可したのですから何も問題はありません」


なんとか這いずりながら男たちから離れる

いままで危ない事とかは割とあったがここまで危険を感じるのは初めてかもしれない


「使い魔召喚」

そんな革命の乙女(笑)さんの声が聞こえた


「は…?」

ここまでやっておいてさらに魔獣までだすの…?

マジでどうなってるんだ


「念には念を入れさせていただきます。正直この子を召喚するのは私のイメージ的に合わないのですがあなたという巨悪を倒すためです。仕方がありませんよね」


地面に描かれた魔方陣から光があふれ、収まった時そこにはまたもや大きなドラゴンがいた

でも前回みたいな青いドラゴンじゃない

真っ黒でボロボロの羽を広げた腐ったような見た目の醜悪なドラゴン


もうダメかもしれない

なんでこうなったのだろうか

物語の悪役らしく素直に運命にのっとっておとなしくしておけばよかったのだろうか

わからない

理不尽だよ…ただ私は楽しく暮らしたかっただけなのに…


「だいじょうぶ」

誰かが私の耳元でそうつぶやいた

そしてふわっと優しく後ろから抱きしめられる


「フウカさん…?」


後ろを見るとそこには安心するような笑みを浮かべたフウカさんがいた


「だいじょうぶですよ。何も心配なんてすることはないんです。だから安心して少しだけお休みしましょうね」

そのまま頭をぽんぽんと一定のリズムで軽くたたかれる

あぁだめだ…こんな状況だというのにフウカさんにこうされると小さいころからの癖で眠ってしまうのだ

さすがに今はまずい

でもそんな考えとは裏腹に瞼はどんどんおちていって…私は眠ってしまった

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