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魔力検査と龍の巫女

いろいろ複雑な気持ちにさせられた講堂でのあいさつも終わり

次は魔力検査の時間だ

魔力検査とは読んで字のごとく個人個人の持つ魔力の検査である。

持っている魔力量、得意な魔法の傾向などがわかるらしい

これによりいわゆる魔法の授業の内容などを振り分けるわけだ

検査結果によっては騎士や研究機関からすぐにスカウトがきたりすることもあるのだとか


まぁ私にはまったく関係ない話だがな!!!!ないからね!魔力!!!!!


言っておくがある意味レアなんだぞ私!

この世界では歴史をさかのぼっても魔力が全くない人間なんてほんとに数えるほどしか確認されていないらしい

つまり激レアだぞ私

だから悲しくなんてないやい


そこで壇上に何やら透き通った丸い水晶のようなものを持った男性教師が現れた

どうやらあれで魔力検査を行うらしい

あの水晶に手を置いて魔力を流すことで水晶の色が変わって判断できるとかなんとか

まぁ私には関係なry


「それではまずは誰かにやってもらいましょう」

教師は新入生一同を見渡すと私に目を止めてにやっと笑った

あぁ…これは多分あれだなと私は思った


「そこの黒髪が素敵なお嬢さん。どうぞこちらへ」

教師が心にもないセリフを言いながらオーバーな動作で私を壇上に誘う

まぁもうおそらくどうしようもないんでしょうけど一応話してみよう


「あの。私には魔力がないので検査は意味ないと思うのですが」

「大丈夫ですよお嬢さん。魔力が少なくても恥ずかしがることはありません。どんなに少なくても魔力があるだけでみんな素晴らしいこの学園の生徒なんですから」


「いや、そうじゃなくて」

「見苦しいぞ!教師に呼ばれてるんだからさっさと行けよ」


別の報告から怒声が飛んできたのでそちらに目を移すと案の定あの第二王子だった

はぁ…つまりこれら全部が私に嫌がらせをするための茶番だということだ

めんどくさいが行くしかないのだろう


「ヒスイ様…」

「いいのよ。大丈夫、ちょっと行ってくるわね」


心配してくれている四人を置いて壇上に上がる


「それではどうぞお嬢さん。魔力の流し方はわかりますね?」

「………」


私は大勢の新入生や教師たちに見られながら水晶に手を置く

みんなニヤニヤとしながらこちらを見ていた

よくもまぁそんなに悪意をっもって個人にここまでやろうと思えるものだ

これじゃあどちらが悪役なのかわかったものじゃない

もちろん水晶の色は変わらなかった


「おぉ!これはなんと!本当に魔力がないとは!あぁなんということだ!すみませんお嬢さん…まさかこの王国に魔力を持たない人間がいるなど夢にも思わず…もしやお嬢様は誇り高き王国の民ではないのでは?」

くすくすと講堂全体から笑い声が聞こえてくる

はぁ…とため息しかでてこない

さっさと戻ろう

そう歩き出そうとした時、教師のズボンが落ちた


「…え」

教師はまだ気づかずにオーバーな動作でなにやらぺらぺらと喋っている

いやあなた丸見えですよ

おぱ〇つ様が丸見えですよ!


「あの…先生」

「んん?なんです?」


「その…ズボンが…」

「は?」

そこでようやく教師が自らのズボンが落ちていることに気が付いたらしい


「うわあああああ!?な、なぜ!?」

教師は慌てて壇上から降りていこうとするが…ズボンが引っかかって転んだ

頭の上でナクロがふんすと鼻をならしていた


まぁそんなこんなで少し楽しい気持ちになりつつ(?)魔力検査はとりあえず続行され次々と新入生が水晶に触れていく

当然今のところ魔力がない人なんて私以外いない

あとなぜか第二王子は検査が免除されていた

なんでや

と、まぁなんでも魔力量がとっていも低いらしいというもっぱらの噂である

情けないなぁ…そういうのは隠すからどんどん恥ずかしくなっていくのだ

私を見ろ!この堂々とした姿を!なんてね


そんなことより意外だったのはギアとメナだ

二人とも新入生の中ではトップクラスに魔力が高かったのだ

すごいなぁ~あほだと思ってたのに実はすごいやつらだったらしい


続いてタマリ

タマリは…普通だった

普通の魔力量である。なんだか安心した

よかった…タマリまで超優秀とかだったら私だけ置いてきぼり感がすごいことになるところだった

いや魔力がある時点で私より優秀なのは変わらないんだけどさ


「おぉ…うまく行ったんだな偽装」

「うん…でもこの魔力拘束具つけてると息苦しくて…」

タマリ達が何かをひそひそと話していた


「なになに?何の話?」

「ああいや、タマリがおしゃれなチョーカーつけてるってだけの話です」


確かによく見るとタマリは首にチョーカーをつけていた

服でぎりぎり見えるか見えないかくらいだが銀色の鎖のような意匠のついた物々しいデザインだ

タマリにはあんまり似合ってないような…


そしてとうとうエリーの番が回ってきた

物語通りならここで初めてエリナリナが龍の巫女であると判明するのだ…がエリーはもうすでに自分が龍の巫女だと知っているのであわあわするエリーの姿は見れなさそう

あのシーン地味に好きだったんだけどな~


エリーが水晶に手を置いた

その瞬間、講堂中が眩い光に包まれた。

そして水晶はまるで燃えるような紅に染まって…砕けた


誰もが言葉を発しなかった。シーンとした静寂

やがて学園長が口を開いた


「素晴らしい…この魔力の量…そして水晶の色…まさかこれは噂に聞く龍の魔力では!?とうとうこの国いや我が学園にも龍の巫女が降臨されたのだ!!!!」


そして一気にざわつく講堂内

「龍の巫女だって?」

「あの伝説の!?」

「すごい…こんな魔力初めて見た…」


などなど

おぉこれがかの有名な「な、なんてやつだ!?あいつはいったい何者なんだ!?」というあれか

私の時とは反応が真逆だ

はぁ…いいなぁ…


そしてその後は本来ならクラス分けなどが行われる予定だったがエリーが龍の巫女であると発覚したため一時中止に

また明日、行われることになった

とりあえず今日は解散となった

ところで私は今日から寮で生活することになったのだが…まぁこれがまた最悪の一言である

目の前にあるのはボロボロの建物

壁にはひびが入り

屋根にも穴が開いている3階建ての建物だ

本当に大丈夫か?私の学園生活

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