考え込んだ設定VSメイド
メリッサはこの屋敷において数少ない女性である。
私にお母様、お母様の専属メイドそしてメリッサとなんと4人だけである!
まぁ男連中の顔が怖いし帝国貴族ということで王国民は嫌悪感的な感情を抱いてしまうらしいなどの事情があり女手が集まらないのだ
そんな中メリッサは珍しい王国民なんだよ!おおよそ色素というものが感じられない白髪にジトっとした目に無表情…しかしめちゃくちゃ美人と属性もりもりなメイドである。
もちろん彼女にも秘密があり、それが仲間に引き入れなければいけない理由なのだ
え?専属メイドならそもそも仲間なのではって?違うんだな~それが…だってメリッサは王国側から送り込まれてるスパイなのだから
「おはようメリッサ、昨日はお休みだったみたいだけれどゆっくりできた?」
「はいおかげさまで…また本日よりよろしくお願いいたします。」
素晴らしいほどに無表情だクールすぎる…
しかし私は今からこのクールメイドを口説き落とさなければいけないのだ
私も七年間遊んでたわけじゃない!いろいろと頭の中で考えたのよ!絶対にやってみせる!!
「失礼しますお嬢様」
すっと音もなく近づいたメリッサに髪を梳かれていく
「ありがとうメリッサ。あなたがいないと髪がちゃんとならなくて困っちゃうわ」
「少し切られてはいかがですか?」
「いやっ!私は自分の髪気に入ってるから伸ばせるだけ伸ばすわ!」
「…さようですか」
ちなみに私の美しい黒髪は今腰のあたりまで伸びている
いつもきっちりお手入れしてくれるメリッサには感謝の一言につきるね…
さて…ここから一気にぶち込んでいくとしよう
午後からはお勉強が入ってるし、可能ならもう今日から「ヒロイン成り代わり作戦」を実行したいんだよね
私が破滅を回避できるかはすべてこの一歩にかかっている
「ねぇメリッサお願いがあるの」
「はい、なんでしょうか」
心臓が痛いくらいに鼓動している
落ち着け、落ち着くのよ私
「あのね私を連れて行ってほしいところがあるの!」
「かまいませんけどどちらに行かれたいのですか?」
「えっとね領地の端のほうにおっきなお花畑があると思うんだけどそこに行きたいの!」
「…お嬢様、誰に聞いたのかはわかりませんがそういうことは旦那様にお頼みください。私の一存でお嬢様を連れだしたりしたらお叱りを受けてしまいます」
それができたら初めからやっているのよ!
しかしまだお父様に話すわけにはいかない…龍に会いに行くなんて説明できないし正確な日時がわからないから毎日通わないといけない
流石に説明なしでお父様が私を危険な外に毎日連れだしてくれるとは思えない
大きな町は結界?とやらがあって魔物が入ってこないが街道などは魔物がいて大変なのだ
護衛は必須!しかし家族には説明できない、まさか前世の話をするわけにもいかないし
もうメリッサを説得するしかないのだ私は!
…多少あくどい手をつかったとしても
「メリッサ。これは取引よ!」
「取引ですか…」
「そう!私のお願いを聞いてくれないとお父様にあなたの秘密をばらすわ!」
「私に秘密などございませんが」
「あるわ。あなた国王陛下から命令を受けて家の情報を流してるスパイという秘密がね!」
「お嬢様…本の読みすぎですよ」
動揺無しか…さすがクールメイド!
私の髪を扱う手も一切動きが変わらない
まだ子供の遊びと思われてるのかな?でもそうじゃないんだよメリッサ
私は「全部」知ってるんだからね
「あなたの昨日のお休みも王宮に報告に行くためのものだっていうのもわかってる。何もかもあなたのことは知ってるのよ私」
「…私が王国民なのでそういう設定に使いやすいのはわかりますが見方によっては…強い言葉で言わせてもらいますが迫害ととられてしまいますよ。私ならまだしも奥様には言ってはいけませんよ」
ほうほういつになく喋るじゃないかメリッサ!
お母様まで出してくるなんて…さては少し焦ってきたかしら!?
「お母様にこんな話しないよ~私はメリッサだから話してるの…お願いを聞いてほしいの私は」
「先ほどの繰り返しになりますがそんなことがバレてしまったら私もただではすみません」
「あなたならバレずにできるはずよ!100年以上生きてる魔女だもの」
「………」
手が止まった
メリッサは何も言わず動かずで立ち尽くしている
流石に動揺してるみたい…いやどうすべきか考えてるのかな?
そう彼女は魔女なのである
魔女とは何か
それは先天的もしくは後天的に莫大な魔力を有した結果様々な能力を得た人のことである
あの物語では終盤メリッサが魔女であることが判明しヒロインとある約束を交わし共に悪役である私を倒す仲間になるのだ…私の専属だったメリッサからもたらされる情報でヒスイは追い詰められてしまうのよね~さらに戦闘力をみてもトップクラスだ
膨大な魔力による攻撃魔法、身体能力もかなり高く作中では傷をおった描写すらほぼないときている
彼女だけは敵に回すわけにはいかない
それに龍に会いに行くには外に出ないといけない。魔物に襲われでもしたら元も子もない
そういう意味でもメリッサは私に必要だ
そして個人的にも私は彼女が抱えている問題を解決したい…物語ではヒロインの役目だったが私が成り代わる以上それは私の役目だ
私は幸せになりたいが誰かに不幸になってほしいわけではないのだから
動揺している今がチャンスだ!たたみかけろ私!
「私に協力してくれるならあなたの秘密は誰にも話さないよ、だからお願い」
「私に秘密なんてありませんよ…ただのメイドです。魔女などという存在ではありませんのでおかしな遊びに巻き込むのはおやめください」
全部私の遊びで済ますきね!
そりゃそうよね7歳の女の子のいうことなんて真に受けるほうがどうかしてる
しかしこちらも引くわけにはいかない
いいよ話してあげようじゃない!私の事情ってやつをね!