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積まれゆくフラグ

その日は屋敷の中がピリピリしていた

みんながみんな怒っていてなにかもう一つ衝撃があれば大爆発してしまいそうな

そんな雰囲気


「はぁ…屋敷の空気が重すぎる…」

「当事者はお嬢やないですか」


私は屋敷の茶飲み部屋でお菓子をつまんでいた

お供にはエリーにメリッサ、サーシャとカツラギである


「当事者って言われてもねぇ…なんでこんなことになったのかわからないから驚きようもないというか…」

「まぁそうでっしゃろなぁ…」

「…」


空気が重い

なんとか話をつなげようとするのだがカツラギしか会話してくれない

他三人は全く喋らない

リアがいればなんかキュッキュッ言って和ませてくれただろうか

うちのナクロは今日も頭の上でスヤスヤ寝てるし

そういえばリアの姿をもう一年くらい見てない気がする

エリーに聞いてもちょっと遠出してるっていうだけだし

まぁ周りにはばれないって言ってるから大丈夫だと信じよう


「あの…三人とも機嫌悪いの…?無理に付き合ってくれなくてもいいのよ?」

「お嬢、とりあえずそっとしといてあげてくださいな…実のところワシもだいぶ腹立っとりますからなぁその三人からしたら余計でしょうて」


そこだ

なぜそこまでみんな不機嫌になるのか

ただ

そうただ


「私に勝手に婚約者が決まっただけなのに」


ばきぃ!と何かの粉砕音が聞こえた

後ろを見るとメリッサの足元の床の一部が抜けていた

…古くなってたのかな?


と思っているうちにパリンと何かが割れる音がした

前を見るとエリーの前にあったカップが粉々になっていた

危ない!と思ったけどエリーは平気そうだしサーシャが何食わぬ顔で片づけだしたので大丈夫なのだろう多分


「お嬢、お嬢。もうそのことは口に出さんほうがええですって…死人がでる可能性もあるさかい」

「どんだけ私の婚約が嫌なのよ」


まぁ正直私も嫌だけどさ~

なんか急に王国から私の婚約者が決まったと通達があったのだ

お兄様でさえまだ婚約者がいないのに

もう朝からうちは大荒れだ

お父様は怒り狂い、お母様は怒り狂い、お兄様は怒り狂い

みんな怒り狂ってやがる

若い衆なんかは「どこのダボじゃあ!うちのお嬢さらおうなんてガキやぁ!のりこんだろかぁ!」と大合唱

気になったのはギア、メナさらにはタマリまでその中に混じっていたことである

子供に悪影響の極致である

なんとかお父様たちをなだめ下の連中もカツラギ経由でなんとか抑えて今の状況である

ほんとに王国は余計なことをしてくれやがりますねオホホ

…そういえばあの物語でもヒスイには10歳くらいの時に婚約者が決まってたんだっけ…?

たしかそうだ

あの物語ではわがまま放題だったヒスイが王国の第二王子と無理やり婚約を結ぶのだ

まぁしかし今の私はもちろんそんなことしていない

第二王子と婚約なんて絶対嫌だ

フラグが立ちそうだし今の王位継承者って第二王子だからいずれ王妃になっちゃう

めんどくさすぎるわそんなの

まぁ向こうもそんなの嫌だろうし第二王子が来るなんてことはないだろうけど…誰なんだろうか私の婚約者って?

あ~もうめんどくさい…


「はぁ…」

「ため息つきたいのはこっちですよお嬢」


「うるさいわね~というか私のことよりあんたはどうなのよ!カツラギ」

「ワシでっか?」


「そう!リリィベル先生とは進んだの?」

「んな!?いいいいやいやリリィのやつがなんで出てくるんですかの~ワシにはなんのことだか…」


「いい年したこわもての男が乙女みたいな反応するんじゃないわよ!普通に怖いわ!」

「お嬢が変なこと言いはるからですよ!」


「はぁ~?あんた私が知らないとでも思ってるの?というかみんな知ってるわよ!あんたがリリィベル先生を狙ってることくらい!」

「な、なんですと…!?」


「まぁ肝心のリリィベル先生は気づいてないみたいだけど」

「おうふ…」


がっくりとカツラギが肩を落とした

なんだかめったにみれないカツラギのそんな姿に少しだけ愉悦を覚えた

はっ…!これが悪女の素質…!?

いかんいかん私は幸せを運ぶ女の子。悪女なんかじゃないわ


「まぁ…元気出して?あぁそうだ今度なんか領地のほうで新しいお菓子のお披露目があるそうよ?口きいてあげるからリリィベル先生と行ってきたら?」

「ほんまですか!?お嬢!!!!」


「えぇえぇホンマホンマ」

「あぁあああざます!お嬢!!!」


「はいはい。でもリリィベル先生にむりやり迫ったりしたらダメよ?もし泣かせでもしたらあんたをボコボコにするから」

「なっはっはっは!さすがにお嬢にボコボコにはされませんわ~そら無理やりは致しませんが…ワシもいい男ですさかい、ついつい泣かせてしまうこともあるかもしれませんなぁ~罪な男なもんで」


「メリッサが」

「すんません調子こきました。こう見えても紳士ですさかい許してつかぁさい」


その時なんだか屋敷が騒がしくなっていることに気づいた


「うん?なんだか外が騒がしいわね」

「すこし見てきます」


ここでようやく言葉を発したメリッサが部屋の外に歩いて行った


「はぁ今日はなんだか疲れそうな予感」


ここでこんなセリフを吐いたのがダメだったのだろうか

事態は私にとって悪いほうにどんどん進んでいく


「おい!いるんだろ!ヒスイとかいう女!でてこいこの悪女め!」


そんな怒鳴り声が屋敷の中に響いた

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