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サーシャ視点~贈り物と洗礼~

もう正直これ以上何が起こるかわからないので休ませてほしいです

しかしそんな願いむなしくお嬢様はうんうんと頭を悩ませている


「あの…もう私が言うのもあれですけどそんなに魔力を無理して使わなくてもいいんじゃないでしょうか…?」

「うーん…でもねこの魔力は私の物じゃないし、私が持っててもいいことなんてないかもしれないじゃない?だからぱぁっと使ってしまいたいの!あなただってよく知らない私がずっと持ってるのなんて嫌でしょう?」


あぁ…この人は最初から私のことをちゃんと考えててくれたのか

考えなしだなんて思ってごめんなさい

あなたはちゃんと人を思いやれる心をもった優しい人なのね

そう私がひとりでに感動しているとお嬢様は私と姉さんを交互に見て何かを考えていた


「どうかなさいました?お嬢様」

「あなたたち顔がとてもよく似ているわね?」


「えぇ双子ですので」

「なるほど…メリッサはこれからもうちで働いてくれるのよね?」


「はい。お嬢様の専属としてこのまま働かせていただく予定です」

「じゃあいいこと思いついたわ!少し待ってて!」


お嬢様は何かを思いついたらしくバタバタと走り去って行った

しかし私にはそれよりも気になることが


「姉さん…ここでメイド続けるの?」

「ええ」


「そうなんだ…てっきりまたどこかに隠れ住むんだって思ってたけど」

「ごめんなさいね。私は決めたの…あの人にもらったたくさんの恩を返し終えるまではあの人のメイドとして生きていくって」


「そっか…うん!いいと思うよ姉さんがそうしたいのならそれで」

「サーシャはどうするの?」


「そうだなぁ~じゃあ私も働くよ~姉さん口きいてくれない?」

「そうね。あまり国王の目のつくところで働くわけにもいかないでしょうし…少し相談してみましょう」


と話がついたところでお嬢様が戻ってきた


「これ!いいのがあったわ!」


そういってお嬢様が掲げたのは二つの宝石だった

緑色の宝石と青色の宝石

いやただの宝石じゃない

魔力を含んだ貴重な石だ


「お嬢様それは…?」

「これね~前にお店で見たときキレイだなぁって言ったらお父様が買ってくれたの!何も言わずにぽんって買ってくれたし多分安物なのね。それでもうれしかったんだけど!」


いえそれはびっくりするくらい高価な石ですお嬢様

そしてそんな石をお嬢様は


「ふんふふんふ~ん半分こ~に割りましょう~♪」


と歌いながら石に尖った金具をたたきつけだした


「お嬢様!?危ないですからおやめください!そんなことで割れるような石ではありませんし!」

「えぇ?そうなの?なぁんだ~がっかり」


お嬢様がしょんぼりと目を閉じたとき私たちは見た

お嬢様の頭の上にいたナクロがものすごい速さで石をひっかいたのだ

すると


「あら?なぁんだ割れてるじゃないの!もう~メリッサたら大げさに言うんだから…あら?もう一つも割れてる?私こっちも叩いたっけ?まぁいいか」

「「……」」


私たちはもう何も言えなかった

やっぱりあいつは普通の存在じゃない

警戒だけはしておかなければ

しかしお嬢様は魔法石を使って何をするつもりなのだろうか?


「ごめんねコレ一応私の宝物だから半分だけね…それでこうしてっと!」


お嬢様が魔法石に魔力を込めだした

魔法石は特殊な性質がある

異常な高度と魔力を流すことで形をある程度変化させることができるということ

そしてお嬢様は残っていたわずかな魔力をすべて二つの魔法石に注ぎ込むとその形は水の雫のようなものに変化した


「よしうまくいったわね…はいこれ!二人にあげる!」

そして姉さんには青色の

私には緑色の魔法石が手渡された


「あの…これは…」

「二人って似てるでしょう?メリッサがここに残ってくれるならサーシャもここに来ることとかあるだろうし私はわかるけど皆は驚いちゃうかもだから二人にそれあげる!ブローチとかにして使ってくれると嬉しいわ」


そうして照れくさそうに笑った


「そんな…!こんな高価なものいただけません!」

「私もです、もらう理由がないじゃないですか…」

「え~?高価じゃないよ~お父様がその場でぽんって買ってくれたものだもの」


何言ってるの?とでも言いたげな表情をするお嬢様だがそういいたいのはこっちである


「いやでも…!」

「それに理由ならあるわよ?まずメリッサにはいろいろ助けてもらってるからね身の回りの世話とか~周りには言えないこともメリッサは協力してくれるし…これはそのお礼!ずっと何がいいか考えてたの!」


「お礼だなんて…お嬢様にご恩があるのは私のほうです!ずっと助けていただいたのにこんな…」

「ま~たメリッサはよくわからないことを言うのね?どう考えても助けられてるのは私のほうよ?だから遠慮せずに受け取ってちょうだいな…そしてサーシャ」

「え、あ…はい」


お嬢様は私の手を取ると微笑んだ

そして

「今日はすっごく楽しかった!これはそのお礼よ」

「私は何もしていませんが…」


「ううんあなたのおかげで私は魔法が使えたのよ!ずっと無理だった魔法が!夢みたいだった…ナクロにも出会えたし!今日一日私が幸せだったのは全部全部あなたのおかげ…だからこれはそのお礼よ」


そうしてお嬢様は部屋の出口まで小走りで行った後少しだけこっちを振り向いて


「今日はありがとう!二人とも。これからもよろしくね!」


と言い残して去っていった


「姉さん…ほんとうにいるんだねあんな人」

「そうね私もびっくりした」


「うん…私もびっくり」

「サーシャ。あのね…私ねあの人を殺そうとしたの…ううん結果として死ななかったんだけどあなたのためにあの人を切り捨てようとしたの」


「うん」

「だからね、私はあの人だけは裏切らない。最後までついていくの…優しいあの人はきっといつか現実にぶつかってしまうわ。その時にこの世界の汚いところを知ってる私たちだからこそなんとかできることがあると思うから」


姉さんの言葉からは後悔と決意そして今の希望に溢れていた

そっか…姉さんは自分がやりたいことを見つけたんだね

だったら私も


「私も…お嬢様の役に立ちたい」

そうつぶやいた時

突然この部屋にいないはずの第三者の声が聞こえた


「でしたら私に協力してくれませんか?」


それはお嬢様と同じくらいの歳の少女だった

私を助けてくれたもう一人の功労者である龍の巫女…名前は確かエリナリナ


「でた…」

さっきまでのいい雰囲気を完全にとっぱらったまるでめんどくさいやつを見たかのような絞り出すような姉さんの声が耳に残る

え?なに?めんどくさい子なの?


「え~と…あなたはエリナリナさんでいいのよね…?」

「はい、ご無沙汰してますエリナリナ・キールスです」


「あ、え~とはいご丁寧に…サーシャ・カナンです…遅れましたが助けていただいてありがとうございます。あなたがいなければ私は死んでいたと聞いています」

「私にお礼なんて大丈夫ですよ。すべてはヒスイ様がやってくれたことです…あの人がいたからすべてうまくいっただけの話ですから」


なんかすごいうっとりした表情してるけど大丈夫なの?この子?

ちょっと姉さんなにこっそりと部屋を出ていこうとしてるの?


「ところでメリッサさん?あなたもヒスイ様のすばらしさに気づかれましたよね?ね?」

「え!?まぁはい…お嬢様は素敵な人だと思います…」


「そうですよね?じゃあわかりますよね?あの人はきれいで美しくて…でもだからこそ弱くて脆いのです。だからあの人が汚れないように壊れないように私たちが守ってあげな~~~~~~…」


なんかすごい長いやばいことを永遠と聞かされております

この子がやばい子であることは確定した

どうしよう

すでに姉さんもいないし

詰んだか


「あの!…エリナリナさんは私に何をしてほしいんですか…?」

「おっとすみません!長々と話してしまいましたね…えっとですね私の先生になってはくれませんか?」


「先生ですか?」

「はい。見た通り私はまだまだ子供です世間のことも魔法のことも何も知りません…でもそれじゃあダメなんです!守るためにはただ力があればいいというだけではありません。知識も必要ですもちろん知識だけでもダメですよ?それはわかってるんですだから私は全てに対応できる力が欲しいんです!奪われたくないのならすべてを奪えるくらいに強く、大切なものをまもりたいのならそれ以外のすべてをねじ伏せる力を…あ、いや別に実際にやろうってわけじゃないですよ?ヒスイ様になにかあればもちろんありとあらゆる物をつかって原因を排除するために動きますが…だからとにかく力がいるんです。ヒスイ様をこの残酷なことばかりの世界で優しく輝くあの人の笑顔を守りたいから。わかりますよね?わかっていただけますよね?私のこの気持ちあなたにも理解できますよね?ね?」


もういい!もういいからやめてくれ!!!!!!わかったから!いう通りにするからぁ!

こうして私はエリナリナさん改めエリナリナ様の専属メイドとなった

我ながら常人には理解できない人生を歩んでいるとは思うけどもここ最近は私でさえ理解できない

もうなるようになればいい

心からそう思いましたとさ。




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