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吾輩は猫だから人類を支配している  作者: おーやま辰哉
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-6削り節- 王の務め先

遅くなりましたが本日の更新です。

 某、(せん)(とり)じゃないノブと別れた吾輩(わがはい)が王の務めを果たすために向かったのは商店街の北口。

 それは紺色の制服と防刃ベストを着用し、頭には制帽、腰には特殊警棒と拳銃、手錠を装備した者の拠点。


「らいおん巡査(じゅんさ)、お疲れ様です!」


「うんにゃぁ(ご苦労、笹野(ササノ)巡査)」


 そう、吾輩の勤め先は交番だ。

 猫田町(ねこだちょう)の平和を守るのは吾輩の義務である。

 交番勤務をする前はただ立ち寄るだけの場所であったが、とある放火事件に出会した際に吾輩は大きな功績(こうせき)を残した。

 結果、堅苦しい表彰を受け巡査の階級を(さず)けられた。

 吾輩の上に立つ者が居るのは気にくわないが、物事には適材適所というものがある。

 吾輩がより上の階級に就いた所で人類の助けにはならぬだろう。


「本日も平和ですよ、ひったくりも万引きも交通事故もありません。気は抜けませんから後ほど巡回もします。らいおん巡査はどうされますか?」


 笹野巡査は昨年に猫田町の交番に配属された新人で、物腰は柔らかく相談も親身になって乗ってくれる。おかげで人類からの信頼が厚く、世代を問わず人気者だ。

 今は昼休憩なのか見当たらないが、もう一人居る中年警察官とも息の合ったコンビでな……。

 交代制なので他にも仲間が居るのだが、諸々の紹介は会った時で良いだろう。

 そんな真面目な笹野巡査は吾輩専用の制帽を手に取り予定を聞く。


「なぁん(吾輩も巡回に出る。学校周辺は2日振りだしな)」


「らいおん巡査も巡回に出られるんですね、何かあれば知らせてください」


 吾輩が制帽を振り落とすのを分かっているので、笹野巡査は落下防止用の紐を吾輩の顎に引っ掛ける事はせずに頭に乗せる。

 この町の人類は時折思考を読んでくるのだが、実は猫語がわかるのだろうか?


━━ザザッ。


 唐突(とうとつ)に笹野巡査が付けている無線が鳴った。

 どうやら緊急の様で、無線に返事を返した笹野巡査は交番の奥へと向かう。


「先輩! 4丁目で空き巣です!」


「何ィッ⁉︎ 急ぐぞ笹野ッ」


 奥に居た奴は準備を整え、笹野巡査と共に交番を出る。

 先ほど言った中年の男で笹野巡査の相棒、片桐(カタギリ)巡査部長だ。

 白昼堂々(はくちゅうどうどう)の犯行を行った空き巣はツイてない。

 直ぐに捕まるだろうが今日は水曜日。

 朝、十字路で会った(カエデ)はまだ小学1年生で帰りが早い。

 空き巣と出くわさないか心配だ。

 万が一を考慮して吾輩も学校周辺の巡回へ向かうとしよう。

 制帽を振り落とし、テーブルから飛び降りた吾輩は交番を出て商店街を駆け抜ける。

 他の猫はいざ知らず、吾輩が道の中央を駆ければ自然と人類は退()く。その光景はさながらモーゼが海を割る様だ。


「な、あの猫凄いっすね」


「知らないのか兄ちゃん? あの猫はらいおんって名前でな、猫田町の英雄さ」


 魚屋のおっちゃんと若者が何か吾輩の事を話していたが気にする余裕は無い。


「英雄? 猫が?」


 怪訝な顔をする若者に魚屋のおっちゃんはニヤリと笑う。


「聞かせてやるよ、らいおん巡査の英雄(たん)をな!」

明日は午前午後に2話更新しますのでお楽しみに!

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