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吾輩は猫だから人類を支配している  作者: おーやま辰哉
12/13

-12削り節- 筋肉は全てを解決する

なんて事でしょう。もうひと作品の方に投稿された最新話がこちらです……。

 笹野(ささの)は調子に乗っていた。

 他人の心の声が聞こえる力を乱用し、小さい頃から自分がヒーローになれるように立ち回ってきた。

 今回の放課事件も自身の人気をさらに上げるために利用しようと考えていた。

 少女のために火の中へ飛び込む気もさらさら無いのにパフォーマンスとして熱血漢を演じ、猫が刑事みたいな推理をしている事を利用して犯人を追い詰めたり。

 だが非常に残念な事に笹野は馬鹿だった。

 ゆえに、笹野には推理がわからぬ。

 笹野は警察学校を中の下で卒業した。

 そして、肉体だけは人一倍頑丈であった。


「くらいなッ! 【灼熱の爆熱】ぅ!」


 自身の家族と家に放火した主人は両手にそれぞれ握ったライターから火花を散らせた。

 その火花は笹野の周りに撒かれ、盛大に爆発する。

 上半身が火だるまになった笹野に恍惚(こうこつ)とした表情の主人。


「……ミスターブラウンを知っていますか?」


 黒煙に包まれた笹野は何の脈絡も無くとある人物の名を出す。

 猫田町でその名を知らぬものは居ないほどの有名人、ミスターブラウン。

 黒光りする筋肉が自慢の外国人だ。なお職業は不詳で朝のランニング時にしか見かけない謎っぷり。


「彼は私の義兄(あに)でして。日々言われるがままに鍛えていましたが本当だったようです」


 黒煙が次第に晴れ、現れたのは上半身の服が焼け落ちた笹野の姿。


「──筋肉は最強の鎧だ」


 (あら)わになったその肉体は爆発による傷など一切無い強靭な筋肉で出来ていた。


「な、なんだお前……!」


「僕の名は笹野彰人(あきひと)。猫田町の平和を守る警察官だ」


 ライターを構え、再び火花を散らし爆発を起こそうとした主人に笹野は尋常じゃない速度で詰め寄る。


「ご主人、あなたを公務執行妨害の現行犯で逮捕します」


 手刀でライターを叩き落とし、流れるように手錠を主人の両手に掛ける半裸の筋肉、笹野彰人。

 その光景を私は屋根の上から眺めます。


「やはり笹野は強いですね。頭がよろしくないので本人の戦略性は皆無ですが、かの賢き猫の頭脳と合わせると強い」


 最後は力業で押し切る辺りも非常に私好みですね。

 それにしても見てください、かの猫の表情を。

 火の中へ飛び込んだ所為で全身の毛が縮れ、耳毛もヒゲも丸まりボンバーキャット状態です。

 そんな姿でも犯人の足止めを格好よく決めようとしたのに、見せ場を全てあの筋肉に奪われて絶望した顔。


「かっっっっわいいですねぇ」


『聞こえてるぞ神』


「聞こえるように声に出してるんですよ」


 ああ……イラついた表情も堪りません。

 ちなみに私の声はかの猫にしか聞こえません。そういう仕組みです。


(それで、いかがでしたか? 何を怪訝(けげん)な顔をされてるんですか、読者のあなたに聞いているのです。これがらいおんの英雄譚、王としての最初の事件なのですが……ふむ、筋肉の所為で全く分からんと。では最後に本人、いえ、本猫から語っていただきましょう)


 それではまた明日。

          by 神

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