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邪神と狂人の異世界無双戦記  作者: 不知火 翔
第3章 侵略編
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第57話:終焉のシンフォニー

 ゴーレムが敵の陣形を一気に崩す。


 もちろん敵も精鋭。


 そう簡単には崩れない。


 だが、じわじわと確実に、勝利の天秤はこちらに傾き始めていた。


 敵もあり得ないような剣戟や魔法を繰り出してこちらの攻撃を迎え撃ち、撃破は不可能と思われたアダマンタイトゴーレムすらも少しだが屠り、オリハルコンゴーレムもかなりの数倒している。


 それでも、無限にも思えるミニアイアンゴーレムのゾンビアタックが敵の意識を散らし、主力であるオリハルコンゴーレムとアダマンタイトゴーレムが敵の戦力を削っている。


 ミニアイアンゴーレムの嫌がらせが無ければ数で劣るし、質も互角な様子なので敗北の可能性が濃厚だったが、ミニアイアンゴーレムの嫌がらせがかなり敵に効いているこの状況、負ける可能性が無いとは言い切れないが、かなり低いだろう。


 特に野戦は力の差が如実に出る。


 敵も天然の要塞を使って巧みにこちらと渡り合ったが、川さえ突破してしまえばその要塞も意味をなさない。


 そして何より一番大きいのが……。


「ぐ、ぐぁぁぁ! いてぇ、どこからか攻撃が飛んできた!」


「クソ、どうなっている!?」


 森の方からのミニアイアンゴーレムのスナイパーライフルによる援護だ。


 主力部隊の対応にすべての意識を割いている敵には、この世界には存在しない圧倒的な力を持つスナイパーライフルの存在には気が付けない。


 たとえ世界有数の精鋭でも。


「こ、後退しろ! 陣形を立て直すんだ!」


 どこにいるかは把握できないが、敵の指揮官の声が聞こえる。


 普通の兵士なら不可能なこの命令に、精鋭たちは従って陣形を立て直そうとする。


 こんな混乱した状況で普通陣形なんて立て直せるもんかね。


 やはり……精鋭か。


 だがそんなことは関係ない。


 俺たちの圧倒的勝勢は揺らがないのだから。


 とはいえ急いては事を損じるともいう。


 ここは慎重を重ねて……。


「オリハルコンゴーレムとアダマンタイトゴーレムは一定の距離を取って包囲! ミニアイアンゴーレムは突撃! 森に潜むスナイパーライフル装備ミニアイアンゴーレムは引き続き敵を狙撃しろ!」


 この状況において最後の隠し玉のようの策があるとは思えない。


 ここまで追いつめられてから使う必要性が無いからだ。


 それでも、油断したせいでその策にはまってしまっては最悪だ。


 この戦いには自分の今持てる全ての戦力を投入している。


 それでもDPの供給源である人間を10万人以上とらえている俺が死ぬことはないが、また1から準備のし直しとなってしまう。


 それだけは避けたい。


 勝ちを急いてはいけない。


 慎重に……慎重に……。


 だが俺の心配は杞憂だったようだ。


 現実に奇跡はそう起こらない。


 戦の最後と言うのはそんなに劇的なものではないのである。


 1人、また1人と敵の兵が散っていく。


 積み上がる屍は無数。


 地獄のような光景だった。


 そしてほどなくして、最後まで抵抗した者もあっけなく散りゆき……。


 すべてのゴーレムが活動をやめ、この地には静寂が舞い降りる。


 勝ちだ。


 完全なる勝利、全ての終わり。


「終わったな……」


「はい」


 レイラはあまり元気が無かった。


 今更人類を裏切った罪悪感にでも苛まれているのだろうか。


 まあそれも仕方ないか。


「さ、俺は全てを終わらせに行く。この世界に住む人類すべてを滅ぼして……。お前はどうする?」


 俺は振り向いてレイラに問う。


「行きますよ」


 そういって俺たちは目的地の帝都へ向かった。

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