第54話:小さな策
翌日、俺はゴーレム軍(アダマンタイトゴーレム100体、オリハルコンゴーレム1500体、ミニアイアンゴーレム100000体)を率いて帝都へ向かった。
十中八九敵は俺が予想した場所で待っているだろう。
だが問題ない。
作戦と言えるほど高尚なものではないが、ミニアイアンゴーレムを盾にしつつごり押しで戦線を上げて、アダマンタイトゴーレムとオリハルコンゴーレムがアサルトライフルをうちまくれば相手は崩せるはずだ。
ついでに今回は秘密兵器スナイパーライフルが役に立つはずだ。
調べた感じ、この川の手前側には森がある。
スナイパーライフルを装備させたゴーレムを1000体程度をこの森に配置させて狙撃させれば相手の戦力をどんどん削れるはずだ。
この森に配置するゴーレムは別に強くなくてもいいというのがいい。
戦線に出ないで後方からの超遠距離攻撃に徹するのだから相手の攻撃は受けない。
攻撃も武器に頼るのだから、ゴーレム自体の強さは必要ないってことだ。
勝てる、絶対に。
こうして、俺は心の奥底から湧き上がってくる興奮を抑えきれず、さらに進軍ペースを上げていくのだった。
その2日後の夜。
ついに俺たちは強行軍で、敵が待ち構えていると推測されるウィルスペード大河の3㎞手前までたどり着いた。
「さて、今日はこの辺で野営にするか、夜襲でもかけるか」
「うーん、夜のうちに橋でもかけて早朝に攻撃を仕掛ける! とかどうですかね」
俺の独り言にレイラが反応する。
なるほど。
先にこの作戦で最も難しい橋を架ける作業を敵が寝静まって油断してる間にやってしまうのか。
「だが見張りぐらいいるんじゃないか? 敵だってそれぐらいのことは分かってるだろう」
「ですよねー。じゃあとりあえず偵察でもしたらどうです?」
「バカか、ゴーレムは偵察に向いてないし俺がそんな危険な任務はできないしお前はもちろん偵察なんて無理だ。偵察ができるやつがいたら端からやってるわ」
俺の言葉にレイラはむっとする。
そして……。
「……じゃあさっさと夜襲掛けましょうよ! 多少派手になったって50体でもアダマンタイトゴーレム送れれば成功みたいなもんじゃないですか!」
ま、そうだよな。
下手に策を弄しても仕方ないか?
暗くとも動けるゴーレムにとって夜襲のリスクはゼロ。
夜襲は掛け得だ。
とはいえこの大軍勢でうるさい音をさせてやってきたら普通気が付くよなぁ。
どうにも意味がないような気がする。
何か少しでも成功率をあげられる策が欲しいなぁ。
俺はこの状況から色々なことを考える。
そして数秒経って気が付いた。
「ふふ……! あるぞ! 夜襲であることを活かすとっておきの策!」
「え、どんな作戦ですか!?」
レイラが速攻で食いついてくる。
仕方ない。
教えてやるか。
「この作戦は……」
俺はためてニヤリと笑う。
「名付けて! ゴーレム投げ大作戦だ!」




