第53話:戦う部分
前回の話が52話なのに、51話となっていたので修正しました。
あれから一月が経った
俺はあれからずっとひたすら街を支配していき、人間を捕まえて休憩所にぶち込んだ。
今や休憩所に収容している人間の数も10万超えた。
DP的には問題なく賄えるのだが、エサをやるために大量の食糧を購入するのが一苦労だ。
それはさておき、いよいよ世界征服がすぐそこまで見えてきたところで、最近人類が不穏な動きを見せている。
なんと人類は生半可な規模じゃ俺たちを倒せないと踏んで、全てをかけて俺たちを滅ぼそうと考えたのか、大陸各地に存在する強者たちを帝都に集めているというのだ。
その数およそ5000。
とはいえ問題はないだろう。
なにせこちらは100億を超えるDPを持っているんだ。100体のアダマンタイトゴーレムと1500体のオリハルコンゴーレムで踏みつぶせばいい。
俺の覇道に何一つ支障はない。
その最後の抵抗は、悪あがきだな。
ふふふ……。
そう、この時まで俺は完全に油断していたのだ。
自身の思い通りにすべてのことが運んでいることによる油断で……。
そしてさらに時は進み、一週間後。
俺はさらに21の都市を支配して、いよいよ帝都の侵略にとりかかろうと、地図を見ていたところでようやく気が付いた。
この地形……!
そう、俺のダンジョンが存在するのは大陸の東端。
少しづつじわじわと中央に向けて侵略を続けていたが、大陸の東側と中央にある帝都との間には大きな天然の要塞が存在した。
大陸でもっとも長く、川幅のある川である「ウィルスペード大河」が大陸の頭部と帝都を隔てるように流れていて、さらにはそのすぐ後方には大陸三大山脈に数えられる「エルディテイル山脈」が聳えている。
帝都に向かうにはこれを超えなくてはならない。
そこに陣を構えるつもりか……。
クソ、やられた。
山脈はともかく、このウィルスペード大河はゴーレムが渡るのは非常に厳しい。
ゴーレムはオリハルコンやアダマンタイトと言った金属でできているので、当然体重も重い。
そんな体で長い川に入り込んだら一生出ては来られない。
そのため、川を渡るには橋を用意しなくてはならない。
しかしその橋だって木製や鉄製などでは話にならない。
橋だって圧倒的な硬度を持つ金属を使わなければならないだろう。
さらに橋の幅も重要だ。
通れる幅が狭ければ川を渡れる人数も減ってしまう。
そんなところでちんたらしていたら敵に狙われ放題だ。
クソ、作戦もしっかり考えなくてはいけない。
楽な戦いになると思っていたのだが、この戦い、もしかしたら負ける可能性だってあるぞ……。
俺は苛立ちながら思考を巡らせる。
今回の戦いで重要になってくるのが、どれだけ早く川を渡ることができるかだ。
近接戦にもちこんで、個の力で倒す。
しかし、そこで俺はある違和感に気が付く。
俺は何故近接戦にこだわるんだ?
遠距離から飛び道具による攻撃で敵を削って数を減らしてから渡ればいいじゃないか。
なにせこっちには地球の現代科学がついてるんだ。
頼るのは兵のこの力の差じゃない。
相手だって精鋭が集められているんだ。
質で優れているとは言い切れない。
もっと確実に有利な点があったのに。
アサルトライフル。
こいつで敵を削り……。
いや、どれぐらいの距離で打ち合うことになるか分からない。
そうだな……。
ふふふ。




