第41話:奴隷ニート
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ありがとうございます。
あれから10日が経った。
ダンジョン内は平和そのもので、侵略者なんて1人たりとも来やしない。
毎日日課として散歩がてらトリニの街の様子も見に言っているが、そっちも変わりは全くなく……。
「この週刊少年シャンプーの次の号を下さい! もう読み終わっちゃいましたー」
だんだんとここでの生活に慣れてきたレイラは、もはや遠慮も何もなく、ベッドで寝っ転がりながら人を顎で使うような生活をしている。
今日だって朝起きたらトイレだけ行って、帰って来たと思ったらベッドに入り込んで昨日渡した漫画雑誌を読み始め、飯を食えと言えば帰ってくる返事は「じゃあ持ってきてください」だ。
どちらが主人だか分かったもんじゃない。
「バカか。それが最新号だ。そもそも週刊って書いてあるだろうが。そいつが次に発売されるのは、昨日が発売日だったから6日後だ」
「えー、じゃあそのゲームってのを私にも下さいよ」
……こいつ……。
別にもう何千万というDPがある俺にとっては、大概のものは出費にならないほどだ。
だが、問題なのは損害ではなく……。
「舐めてんのか? なんで俺を殺しに来た侵略者のお前に対してここまでもてなさなきゃいけないんだ! 確かに俺はそこそこの生活を保障すると言ったが、これはそこそこのうちに入らない!」
俺は勢いに身を任せて怒鳴りつける。
俺の言ったそこそこというのは、十分な衣食住と、少しの娯楽を与えるということを指していた。
しかし現状はどうだ?
レイラは朝から晩まで俺を顎で使い、まさに夢のニート生活。
俺も人のことは言えないが、どちらかというと俺の方が働いている。
それに何より、形式上のことではあるが、俺とレイラの関係は奴隷と主人。
「ということで今日からしばらくお前には娯楽を与えない。少しはわきまえろ」
「ええっ!? そ、そんな……。それだけは勘弁……」
こんなに感情が喜から哀へ急転直下するさまを俺は初めて見たかもしれない。
まあ娯楽だってちょっとは与える約束だったのにいくら罰とはいえゼロってのは酷いか……。
俺はこの美少女が世界の終わりみたいな表情をしている罪悪感にあっさり敗北する。
とはいえ減らすだけでは意味がない。
俺の目的は、レイラのこのニート状態を改善すること。
働かざる者食うべからず。
そんなわけでとにかく俺はこいつを働かせて、少しは俺の利益になることをしてもらいたいのだ。
とはいえ仕事と言ってもな……。
トリニの街の様子は俺が直々に見たいし、他の仕事となると今は特に……。
いや、ある!
「仕方ない。お前が働いたらちゃんとそれに見合った娯楽を与えよう」
「え! ほ、本当ですか!?」
さっきまで死んだ目をしていたレイラが一瞬で目を輝かせて食いついてくる。
「あぁ、仕事の内容は、ダンジョンの拡張案だ。今はあまりダンジョンに人が来なくなっているから、お前が侵略しに来た時以来ダンジョンを拡張していないんだ。だがそれだといざっていう時に心配だ。だからダンジョンの拡張案を紙に書くんだ。1階層ごとに日本円にして1000円分の娯楽をやる」
「わ、分かりました! では紙とボールペンを!」
レイラは働く気になってくれたようで、嬉々として紙に何かを書き始めた。
結局レイラは1日で18階層分の拡張案を書き上げ、俺はそれをもとにダンジョンを拡張していった。
こうしてダンジョンはさらに難攻不落になり、レイラは今まで通りの生活を守ることに成功したのでした。
めでたしめでたし。
今回は息抜き回でしたが、ちゃんとストーリーに関係がある部分もあります。




