第25話:怒りと時
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
今年も頑張っていきたいと思うので、応援よろしくお願いします。
今日は正月ですが2話更新とかはありません。
流石に2日連続は間に合いませんでした。
「これからの君たちの処遇は、休憩所の騎士団員は全員捕らえて、返すつもりはない。君は奴隷となってもらう。そしてこれは決定事項だ」
悪びれることなく堂々と彼女に伝える。
当然だ。
日本ならいざ知らず、ここは異世界。
弱肉強食の世界。
それにこれは正当防衛だ。
理性が残っていれば理解せざるを得ないはずだ。
まあ最も、この判断を前にすれば理性なんて吹っ飛んでしまうだろうがな……。
「ふ……ふざけないでください! 勝手に隷属化? それに騎士団を返さないって……。あなたに人の心はないんですか?」
まあこうなるわな。
だがここで雑な対応をしたら一貫の終わり。
非常に納得いかないが、もしもの時は騎士団ぐらいは解放するよう譲歩しなくちゃいけないかもな。
「まあそうは言っても本来君たちを殺すことだってできたんだ。それを生かしておいてるんだ。騎士団には最低限の食料を与えるつもりだし、君は奴隷にするとは言っても無茶な命令をしたりはしない。そこそこの生活も保証する。邪神様に誓ってな。これを人の心ととらえてほしいんだが……」
正直心の中でははらわた煮えくりかえっている。
勝手に侵略しておいてこの言いざま。
生かしておいてやってるだけ感謝してほしいものだ。
とはいえ、怒っている奴に対しての正論は火に油を注ぐ様なものであることは、短気な自分がよく知っている。
ここは我慢だ。
「そ、それは……。しかし何故人間なのにダンジョンマスターなんてやっているんです!? ダンジョンは人類の天敵! それなのに人間がダンジョンなんてありえません!」
そこをまた掘り返してくるのか。
さっきは納得してたじゃんか。
全く、正直顔は可愛いが今すぐぶん殴ってやりたい気分だ。
だが我慢。
話すべきことは話したんだ。
とりあえずあとは時間が解決してくれるだろう。
話すのはもう少し冷静になってからだ。
「仕方ないだろ、それが俺に与えられた使命なんだから。とにかくもうこれは決定事項なんだ。飯はすぐ用意するしベッドも用意しておく。風呂とトイレもちゃんとマスタールーム内にあるし、カーテンもかけて外からは見えないようにしておくよ」
俺はそう言うと、偽ダンジョンコアのもとへ行って菓子パン2つ、紙パックジュース200ml、ベッド、カーテンを購入していく。
しめて615DPだ。
収入も入ったしこれからもっと入ってくる予定だから問題ない。
「ほら、飯だ。このパンはこのギザギザのところから袋をちぎるようにすれば開く。こっちの箱には飲み物が入ってて、側面についてる長細い袋に入った棒をこの上にある銀の円に刺せば、その棒を吸うようにして飲める」
食い方を説明してそれを床に置く。
テーブルぐらい買えばよかったか?
いや、別にいいか。
「……いりません!」
彼女は強く叫ぶ。
言うと思ったよ。
強情そうな性格だしこりゃ仲良くなるまで大変かもな。
とりあえずこの空気の部屋にいるのはいやだし、彼女も俺がいるのは嫌なんだろう。
1人で冷静になってもらうとするか。
俺はベッドとカーテンを設置し終えると……。
「それじゃあ俺はしばらく外で作業してくるから」
それだけ言ってマスタールームを出た。
あ、素材になる金属忘れた……。
今更ストーンゴーレム作ってもな……。
そして俺は結局数時間ボーっと空を眺めて過ごした。




