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邪神と狂人の異世界無双戦記  作者: 不知火 翔
第2章 防衛編
22/59

第21話:第1ラウンド

 騎士団が2列で通路を進む。


 対する俺は小手調べとして100のミニアイアンゴーレムを最初の通路に送りだす。


 数秒後ミニアイアンゴーレムと戦闘の騎士とがぶつかり合う。


 ガンガンと金属音を鳴らしながら戦闘が始まった。


 その隙間を縫って体の小さなミニアイアンゴーレムは後ろの方で状況の分かっていない騎士を狙いに行く。


 よし、ここまでは冒険者たちとの戦闘と同じようにうまくいっているぞ。


 この細い通路と言う地の利を生かした戦い方はシンプルだが非常に強い。


 かつて本能寺の変を起こし、織田信長を討ち取り、天下統一に王手をかけた有名な武将である明智光秀も、自身の命運を決することととなった戦いである山崎の戦いで、数の不利を補うために左右を山で囲まれていて、道幅が狭まっている場所を決戦の地に選んだという。


 周囲は湿地帯となっていて、山自体は低かったが登ることが困難だったため、光秀は数の不利を覆し当初有利に立っていたという。


 まあ残念ながら結局豊臣秀吉の取った、力業で山を登り挟み撃ちにするという頭になかった策を取られて天下統一の夢は儚く散ったが。


 そして今の状況はまさに数の不利を帳消しにしている。


 さらにそれどころか体の小ささを活かして有利に事を運べている。


 しかし……。


「下がれ! 列の間に武器を振り回してもお互いに当たることが無いだけの空間を作るんだ!」


 先頭の男の一言で、列の隙間に入り込んだミニアイアンゴーレムに見事に対応して見せる。


 なるほど、これが冒険者たちとは違う鍛え抜かれた連携と素早い動きってやつか。


 それに後ろの方にいて戦闘に参加していない連中も集中力を切らしていない。


 つねに不測の事態に備えている。


 これは思ったよりも手強そうだ。


 とはいえ、隙間に入り込んだことにより、騎士たちは1対多の戦闘を強いられている。


 一気に切り崩すことはできなかったが、有利であることには変わりはない。


 そう、有利なはずなのだが……。


 うーん、全然崩れないな……。


 それどころかじわじわと戦力を削られている。


 騎士団が全然崩れないのはやはり連携のせいか。


 あの完璧な隊列の組み換え。


 負傷者や長く戦っているせいで集中力が切れかかっているものを後ろの方で、温存しているものと隙なく列を組み替えているせいで後ろで控えている騎士たちも役割をしっかり果たし、人数の差を活かせている。


 とはいえこの先の通路は落とし穴地帯。


 後退することはできない。


 マスタールームの力で強制的に転移させることもできるが、目の前で戦っていたゴーレムが消えたら、あり得ない現象が起こったと言って撤退してさらなる強力な軍勢を連れてくるかもしれない。


 よってマスタールームの転移システムを使うのは出来る限り控えたい。


 これと同じ理由で増援を送るのも却下だ。


 後は冒険者たちの襲撃の時に使った、背後から奇襲と言うこれまたテンプレ的な作戦もあるが、これも却下だ。


 今回の戦闘は冒険者たちの時と違って敵の数が多い。


 隊列の後方にいる騎士たちは、手が空いてるし、それなのに警戒を怠らず奇襲に備えている。


 この状況では背後からの攻撃は成功しないだろう。


 となると取れる手段はない。


 俺が出来るのは残ったミニアイアンゴーレムが出来る限り多くの騎士を倒してくれることを祈るだけだ。


 初動は若干思い通りにいかなかったが、大きなミスは犯していない。


 それに完全に失敗という訳では無い。


 騎士たちにはかなりの疲労が蓄積しているだろう。


 そうすれば少なからず集中力も失われるはず。


 この先の落とし穴地帯は集中力を欠けば簡単に命を落とす危険地帯。


 さらに時折混ざっている嫌らしい罠にも注目だ。


 さて、果たして次は今回のように上手くいくかな?


 俺は控えのミニアイアンゴーレムしかいないマスタールームで1人不敵な笑みを浮かべた。

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